7月 5, 2024

【ご報告】フィリピン・パラワン島のお産を支えるクリニックを訪問しました!(訪問レポート・前編)

2024年6月21日〜24日にかけて、Impact Hero 2016 ロビン・リムおよびインパクトヒーロー支援チームは、フィリピンのパラワン島にある、ブミセハットが運営するクリニックを訪問しました。クリニックの概要および訪問中に行われたイベントについてご紹介します。
Impact Hero 2016 ロビン・リム 

フィリピン人の母とアメリカ人の父を持つ。妹とその子どもが出産中に亡くなったことをきっかけに助産師を志し、インドネシアのバリ島にNGOブミセハット国際助産院を設立。「救える命はすべて救う。すべての命は尊い。」をモットーに、24時間365日無償で医療サービスを提供するクリニックをインドネシア・フィリピンで6箇所運営。また災害時には医療チームを派遣し緊急支援活動も行う。(詳しくはこちら

 

パラワン島のブミセハット・クリニックとは?

 

パラワン島はマニラの南西に位置し、面積は約14.6平方キロメートル、7,000以上の島々で構成されているフィリピンの中で、5番目に大きい細長い形をした島です。人口は約94万人(2020年時点)、人口密度は北海道と同程度です。

フィリピンではここ数年経済成長が進み、人口増加・GDP成長が著しいですが、パラワン島ではまだまだ経済発展は十分に進んでおらず、人口の25.3%が貧困ライン以下の生活(1日1.90ドル未満)を送っており、フィリピンの全国平均である22.4%を上回っています。お産の状況についても課題があり、パラワン州は、フィリピンの中で4番目に妊産婦死亡率が高く、10代の女性の妊娠率も非常に高いと言われています。

パラワン島のブミセハット・クリニック(正式名称:バハイ・アルガン・ニ・マリア)は、2022年に現地コミュニティからの要請を受けて複数の支援者の寄付により設立されました。その後、出産介助の許可を取得し、2023年には239名の赤ちゃんがこのクリニックで産まれました。

 

こちらの写真にうつっている男の子は、このクリニックで最初に産まれた子どもです。

 

クリニックの敷地は2.3ヘクタールと非常に広大で、お産のための施設だけではなく、助産師や出産前後のお母さんが寝泊りする部屋、レストラン、そしてレストランで提供する野菜や果物を育てる農園も併設されています。

パラワン島のクリニックでは、赤ちゃんとお母さんに寄り添う優しいお産介助を無料で行う他、歯科・眼科健診や、地域コミュニティや学校と連携した栄養改善・食事の提供など、さまざまな活動を行っています。

セレモニー&子どもたちへの食事提供イベント

 

6月22日に、ブミセハットの助産師たちとロビン、Earth Companyインパクトヒーロー支援チーム、そしてクリニックの設立をご支援くださった日本人寄付者の方を招いて記念のセレモニーを行いました。

 

寄付者の奥様のお名前を冠した部屋の前で記念のリボンカットを行い、これまでこのパラワン島のクリニックで産まれた赤ちゃんとお母さんの写真や近くの学校の子どもたちのダンス披露などをまとめた動画を鑑賞し、記念撮影を行いました。

その後、近隣の6-12歳前後の子どもたち30名弱を招いて昼食をふるまいました。子どもたちはみんな笑顔でおいしそうにご飯を食べ、たくさんの子がおかわりをしていました。帰る前には一人ひとりにサプリメントなどが入ったギフトがロビンと寄付者の方から直接手渡され、嬉しそうに持ち帰っていました。

パラワン島では子どもたちの栄養不良が深刻で、6歳と12歳の子どもの身長がほぼ変わらないほどです。クリニックでは近隣のコミュニティや学校と連携しながら、子どもたちの栄養改善のためのプログラムを実施しています。

ロビンによる助産師へのレクチャー

 

6月23日に、ロビンによる「優しいお産」についてのレクチャーが行われました。レクチャーにはブミセハットだけではなく、近隣のクリニックの助産師も含む約10名が参加しました。ロビンが赤ちゃんとお母さんに寄り添った優しいお産についての考えや具体的なお産介助の方法などについて話し、参加者全員が真剣に話に聞き入っていました。

トークセッションだけではなく、実際に助産師の1人が妊婦さん役をしながらの実技も行われました。

 

マニラにてフィリピンの企業とのミーティング

 

今回の出張では、Earth Companyの支援先訪問だけではなく、新たな企業パートナーシップの可能性を探るため、マニラにあるEMS(製造受託)企業を訪問しました。

先方の事業紹介のほか、CSRやサステナビリティへの取り組みをご紹介いただき、また実際に製造現場も見せていただきました。3時間にも及ぶミーティングを経て、Earth Companyのミッション、ビジョンについても強く共感をいただきました。今後もフィリピンの社会課題解決支援において連携可能性を引き続き模索していく予定です。

 

以上、フィリピンのブミセハット・クリニック訪問についての活動報告でした。Impact Hero 2016のロビンが代表を務めるブミセハットの理念に基づいた活動がパラワン島でも実践されていることを現地にて直接確認することができ、改めてインパクトヒーローの影響力の大きさを実感することができました。クリニックが地域の中で安心できるお産や医療・健康に関するプログラムを提供するという役割を果たしていることについても、実際にそこで働く方のお話を聞いたり、昼ごはんを楽しむ子どもたちの様子を見たりすることをすることで再確認できました。

 

フィリピン訪問レポートの後編では、Impact Heroes Class of 2024メンバーであり、同じくパラワン島にて環境破壊につながる違法行為を止めるための活動を行うロバート・チャンが代表を務めるNGO団体・PNNIの訪問について報告いたします。