オユンゲレル・ツェデブダンバ
旧ソ連の共産主義の影響を色濃く受けたモンゴルの小さな田舎町で育ったオユンゲレル(オユナ)。モスクワの大学で計画経済を学ぶも、ソ連崩壊を機に、モンゴルで民主主義を拡げる活動家に転身。2012~16年の間は国会議員を務め、文化庁・観光大臣を歴任し、モンゴル社会の持続的発展に取り組んできた。
モンゴルの水・衛生環境は非常に厳しく、「安全に管理されたトイレ」の普及率はわずか58%*。都市部と農村部の格差も大きく、農村部では屋外の竪穴式簡易トイレが一般的で、子どもの落下事故や、その衛生状態の悪さから、トイレに行くことを避けて水を飲まずに脱水症状になったり、感染症にかかる人たちも少なくない。
2017年に、トイレに対する意識と行動を変えるためのキャンペーン「Let’s Change Our Toilets (トイレを変えよう)」を開始。水道施設のない農村部や都市部のゲル(移動式住居)居住区での、トイレの普及を通した衛生・環境改善をミッションに、安心・安全かつエコなトイレのの導入、コミュニティへの研修や啓蒙活動、ビジネスセクターとの連携促進に取り組む。
*出典:UNICEF
概要
Local Solutions
モンゴル
トイレの整備、衛生教育
• SDG 6
• SDG 10
• SDG 17
2023/7/1
2.5年間
竪穴式トイレの危険性と健康被害
トイレに関するタブーを打ち壊し安心安全でエコなトイレをモンゴルへ
モンゴルで「トイレがタブー」とされる理由
モンゴル語でトイレを意味する「Jorlon(ジョロン)」という言葉は、社会的・文化的にネガティブな慣習や意味合いを強く持ち、公的な文書や広告だけでなく、日常会話でも使われることはめったにありません。
近年は、水洗トイレのある人々は文明的な生活をしていることを誇りに思う一方で、竪穴式のトイレを使っている人々はそのことを恥ずかしく感じ、トイレの話から自らの家庭や経済状況を悟られることを嫌がります。そのため「トイレ」という言葉自体がタブー視され、避けられる状況が続いているのです。
「トイレを変えよう」キャンペーン
モンゴルでトイレの課題を解決するためには、まず人びとが「トイレ」について語ることをタブーとする意識を変える必要がありました。
2017年にオユナは「Let’s Change the Toilet」というキャンペーンを開始。人びとのトイレに対する意識と行動を変えるために、モンゴルで導入可能なトイレ技術や企業のトイレ事業、また自治体の衛生政策への市民参加の事例などを紹介した実用的な本を出版し、トイレについて考え、話し合い、行動することの必要性を訴えました。
翌年には全国ツアーとして、Local Solutionsのチームがモンゴルの全21州とウランバートル市の全地区を訪問。合計56回のワークショップを実施し、5000人以上の参加者に対してトイレに関する啓発活動を行いました
こうして2年間かけて、徐々にモンゴル国内でトイレのタブーを打破していき、活動のスタートラインに立ったのです。
ドライトイレの普及を目指して~ドライトイレが選ばれる理由~
・トイレ一台が約260ドルと、一般のトイレよりも40%安価な価格で購入できる
・維持コストが、竪穴式簡易トイレの1/10、水洗トイレの1/30
・水道に繋げなくても利用可能
・通常の水洗トイレと比べて、1家庭あたり1日300リットルの水を削減
・持ち運び可能のデザインのため、屋内に設置できる
・糞尿をコンポストすることで、土壌汚染を防ぎつつ、堆肥として利用・販売できる
検討中
支援開始にあたり、オユンゲレルとLocal Solutioinsのチームメンバー3名とミーティングを行い、Local Solutionsの事業概要、今後の計画、運営上課題と感じていることなどを、確認しました。現在は、今後2年半の間で注力する支援をチームと密に話し合い、検討中です。
オユナとの軌跡
支援報告書
プレスリリース
ニュースレターご登録
ニュースレター(月2回配信)をご希望の方は、こちらからご登録ください