スリヤ・カルキ
経済的な理由などで就学児童の4人に1人が8年間の基礎教育を終えられないネパール。
スリヤは最寄りの学校まで徒歩2時間半もかかる村で、シングルマザーのもと生まれ育った。最貧困の村に生まれたスリヤが豊かな人生を生きるためには教育しか術がないと悟った母親は、スリヤが7歳の時、国の奨学金試験を受けさせるためスリヤを騙し騙し27時間も歩かせ、親子で首都カトマンズへ向かった。なんと地区で最も優秀な成績を収めたスリヤは見事合格し、全国から優秀な学生が集められる国営の全寮制の学校に進学!それから9年間家族に会えなくなると知った時は大泣きしたが、全国から集まった優秀な7歳児70人全員が同じ境遇だった。それから9年スリヤは勉学に励み、ベネズエラのUWC高校で学ぶ機会を得て、さらには海外の大学に進学し、修士号をも取得。教育によって、スリヤの人生は180度変わった。
しかし母国ネパールでは、農村部ではいまだ教育機会は非常に乏しい。その現状を見て、ネパールの教育改革に取り組むことを決意。2015年にUWSネパールを設立し、これまで82の小・中学校を設立&運営!農村部の14,000人以上の子どもたちに教育を届けてきた。また、教員研修や女子生徒向けの生理用品制作ワークショップ、母親の生計支援や給食プログラム等、退学率を下げるために有効なプログラムを導入することで、UWSネパールの提携学校での基礎課程修了率は98%を誇る。今後は政府との連携を通してこれらのプログラムをネパール全土の学校に広げることで、国内の教育格差解消に取り組む。
*ネパール教育省
https://nepalindata.com/media/resources/items/0/bFLASH_I_REPORT_2078_2021-22.pd
概要
UWS Nepal
ネパール
僻地での基礎教育の普及
• SDG 4
• SDG 5
• SDG 10
2024/7/1
2.5年間
基礎教育課程を終えられない子どもたち
すべての子どもたちが質の高い教育を受け、貧困から脱し、より豊かな生活を送るために
子どもたちが通い続けられる学校プログラム運営
子どもたちが学校に通うことができない背景には、僻地における学校の数の少なさ、教員の人数と研修等の機会の不足による教育の質の低さ、親も十分な教育を受けられていないことによる教育への理解の低さ、家庭の経済的状況等、様々な要因が複合的に影響しています。学校に行けない子どもたちは、児童婚や人身売買、児童労働などの被害にさらされてしまう可能性が高まります。
UWSネパールでは、学校建設というハード面だけではなく、女子生徒たちへの再利用可能な生理用品の作り方のサポート、母親コミュニティーの形成、教師に対する研修、給食プログラムの導入等、ソフト面からも様々な取り組みを行うことで、基礎教育課程の8年間を98%の子どもたちが修了できるようになりました。
こうした活動を通じ、UWSネパールではこれまで教育機会が限られていた14,000人以上の子どもたちに、質の高い教育を提供してきました。
政府と連携した持続的な学校運営モデル
UWSネパールの学校運営モデルの素晴らしい点は、学校設立後の運営費をUWSネパールが負担しつづけなくてよいというモデルを確立している点です。UWSネパールが建設費用を集めて学校を設立したのち、5年間の運営費用はUWSネパールが負担します。その後3年間は、地域コミュニティが学校を運営し、運営費用は政府が負担しつつ、UWSネパールがその運用をモニターすることで、設立された学校は金銭面でも、運用面でも、UWSネパールが関わりつづけなくても持続的に運営される体制が作られているのです。
さらには、政府の要望を受けて、設立費用の半分をUWSネパールが、半分を政府が負担する形で教員のトレーニングセンターを設立し、政府に雇用された教員もここに派遣されてトレーニングを受ける、という連携も生まれています。
こうした政府・地域コミュニティとの連携があるからこそ、より多くの子どもたちに質の高い教育を提供するために新たな学校を設立し続けることができるのです。
また、UWSネパールの学校は、全世界約60の学校とパートナーシップを提携しています。パートナー校では、生徒主体でUWSネパールの学校の設立・運営費を支援するためのファンドレイジングを行い、UWSネパールもその活動をサポートします。こうした連携により多くの学校がネパールに設立され、パートナー校の教員・生徒同士の交流も行われています。
スリヤは2030年までに新たに700校を設立し、10万人の子どもたちに教育を届けるという大きな目標を掲げて活動を行っています。
当面の課題は約1,100万円の資金調達です。この金額を調達することで、政府から提供される約4,100万円とあわせて10の学校に新たに支援プログラムを導入することができ、7,000人の子どもたちに教育プログラムをサポートし、4,000人の母親グループを支援し、3,400人の少女たちが学校に通い続けることができるようになります。 Earth Companyでは取り組みの効果を最大化するための資金調達のサポートとあわせて、支援の拡大に伴い急成長する組織運営に関してのサポート等、協働できる点をスリヤとそのチームと相談しながら進めていく予定です。
2024年10月、日本の長野県にあるUWC ISAKジャパンを訪問しました。UWC (United World College)は全世界18ヶ所にあり、世界各国から選抜された高校生を受入れ、教育を通じて国際感覚豊かな人材を養成することを目的とする国際的な民間教育機関で、スリヤ自身もUWCの高校を卒業しています。 今回、ISAKジャパン代表理事の小林りんさんにもお会いし、UWC国際本部をご紹介いただくことで、UWSネパールとの連携につなげる第一歩となりました。
2024年10月、ブリティッシュ・スクール・イン・東京(BST)を訪問し、計4クラスの生徒たちにネパールの教育の現状を伝えました。BSTは東京にあるインターナショナル・スクールで、スリヤが運営するUWSネパールのパートナー校でもあります。 来日前に、BSTからUWSネパールへ2校の建設・運営費用の支援がすでに決まっていましたが、この訪問を経て、追加で2校の支援が検討されることになりました。
2024年10月に行われたEarth Company10周年記念イベントに登壇し、140名の参加者を前にライフストーリーや活動紹介を行いました。来日中に関係者・企業・財団・学校の方々と計16回のミーティングを実施し、2回のメディア取材が行われ、学校建設・運営支援につながる可能性のあるネットワークを拡大することができました。
UWSネパールとのパートナーシップを検討される学校関係者の方は、こちらの資料をご確認ください。
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