2月 28, 2025

【ご報告】IMPACT HERO 2023 オユンゲレル・ツェデブダンバをバリに招聘し4日間の戦略会議を開催!

IMPACT HERO 2023 オユンゲレル・ツェデブダンバ(オユナ)の支援最終年にあたり、オユナと彼女が運営するLocal Solutions にてアドバイザーを務めるダギーの2名を2025年2月5日~9日、バリ島に招待して4日間の集中戦略会議を開催しました! 極寒のマイナス30度のモンゴルから、常夏30度のバリへ。60度という激しい気温差にも負けず、モンゴルの公衆衛生と環境課題を解決するための戦略を徹底的に議論する充実した時間となりました。トイレの改善を通じて、より多くの人々が安全で衛生的な生活を送れる社会を目指すオユナの挑戦。その実現に向けた今回の会議の様子をお届けします!

IMPACT HERO2023 オユンゲレル・ユンゲル(オユナ)

 

小説家、人権活動家といった異色の経歴を持つオユナ。2012~16年の間は国会議員を務め、モンゴル社会の持続的発展に取り組んできた。

モンゴルの水・衛生環境は非常に厳しく、「安全に管理されたトイレ」の普及率はわずか58%*。都市部と農村部の格差も大きく、人口の約半数が生活する農村部や、都市部の貧困地域では屋外の竪穴式簡易トイレが一般的で、子どもの落下事故や、その衛生状態の悪さから、トイレに行くことを避けて水を飲まずに脱水症状になったり、感染症にかかる人たちも少なくない。

2017年に、トイレに対する意識と行動を変えるためのキャンペーン「Let’s Change Our Toilets (トイレを変えよう)」を開始。水道施設のない農村部や都市部のゲル(移動式住居)居住区での、トイレの普及を通した衛生・環境改善をミッションに、安心・安全かつエコなトイレの導入、コミュニティへの研修や啓蒙活動、ビジネスセクターとの連携促進に取り組む。
*出典:UNICEF

オユナの活動についてもっと知りたい方はこちら

1. 戦略会議の目的

 

モンゴルの多くの地域では、未だ竪穴式簡易トイレが使われており、それが健康被害や環境汚染の要因となっています。そこで、オユナはすべての人が安心安全なトイレにアクセスできるモンゴルを目指し、2030年までに6000基のドライトイレを導入することを目標に掲げています。この目標を実現するためには、単にトイレを設置するだけでは不十分です。住民がトイレに関する正しい知識と選択ができるための啓発活動、エコトイレの設置・メンテナンスを行う人材育成、そして安定した資金の確保など、さまざまな取り組みが必要になります。

そこで、今回の会議では、オユナの掲げる目標を達成するために、年間ごとの計画と資金調達の戦略を立てました。その上で、アースカンパニーの支援の効果を最大化するための「今、最も必要とされる支援」を明らかにすることを目的としました。

 

2. 今回のハイライト

 

年間目標をロードマップに落とし込み、実行計画を策定!

 

オユナが掲げる目標は、2030年までに6,000基のドライトイレを普及すること。その実現に向けた戦略会議では、Local Solutions が提供するドライトイレの適切性や、普及に向けた具体的な実行計画について慎重に議論を重ねました。

「なぜドライトイレが適切なのか?」「このトイレである必要性は?」といった基本的な疑問から、持続可能な普及を促すマーケティング施策、組織体制の強化まで幅広く検討。モンゴル特有の文化や地理・気候条件を踏まえながら、オユナならではの視点と戦略を活かした実行計画を練り上げました。

限られた4日間の議論の中で、プロジェクトの目的と方向性を再確認し、毎年の目標を明確化。アースカンパニーとして「今できる最適な支援の形」を見出し、最終支援年に向けた確かな一歩を踏み出しました!

 

あまり知られていないモンゴル特有のトイレ文化について

 

オユナとチームが直接対話する時間を設け、モンゴルのトイレの現状や、彼らのこれまでの経験を共有した後、Q & Aセッションを開催しました!

「モンゴルには他にどんな種類のトイレがあるのか?」「なぜ『トイレ』に対して未だに根強い偏見が存在するのか?」といった質問に対して、オユナから丁寧な解説。チーム全体としてプロジェクトへの理解を深め、サポート体制を強化する貴重な機会となりました。

広がるトイレの可能性!ネットワーキングミーティング

 

サステナビリティの分野で活躍する*グリーンスクールのメンバーと交流し、持続可能なトイレソリューションの可能性について意見を交換しました。異なる視点からのフィードバックを受けることで、トイレ導入の新たな可能性を見出し、今後のネットワーク構築にもつながる有意義な時間となりました!

*「世界一エコな学校」と言われるバリ島のグリーンスクール

3. 戦略会議の成果

 

これまで伴走支援を続けてきたオユナも、いよいよ最終年を迎えます。

2017年から、「Let’s Change Our Toilets (トイレを変えよう)」キャンペーンを原点として、モンゴルで長年タブーとされてきた「トイレ」について果敢に問題提起をしてきたオユナ。トイレの課題をインフラ整備として解決するだけではなく、人々のマインド、文化から変化を起こすために草の根レベルで包摂的なアプローチを続けてきました。

今回の戦略会議では、これまでの活動を改めて整理しながら、より効果的な支援を届けるための実行計画を構築。さらに、ネットワーキングの機会も提供し、今後の発展に向けた確実な一歩を踏み出すことができました。

 

この最終年は、オユナの活動が次の成長ステージへ進むための「土台づくりの1年」となります。アースカンパニーとしても、戦略策定や持続可能な実行計画の支援を引き続き行い、彼らの挑戦を最後まで全力でサポートしていきます!

引き続き、インパクトヒーローおよびEarth Companyの活動への応援を、どうぞよろしくお願いいたします!

インパクトヒーロー支援チームからのコメント

 

私は、現在日本の大学に在籍しており、昨年10月からインパクトヒーロー支援チームでインターンをしています。

オユナは、政治家、小説家、人権活動家として、より良い社会の実現に向けて多方面で貢献してきました。世界中を飛び回りながら、モンゴルで長年タブーとされてきたトイレ問題に真摯に向き合い、変革を起こそうとしている姿は、まさに勇気ある行動の象徴です。しかし、オユナはただの「象徴」ではありません。2017年に立ち上げた「Let’s Change Our Toilets(トイレを変えよう)」キャンペーンをはじめ、実際に現場に足を運び、社会の仕組みを変えるために具体的なアクションを起こし続けています。

今回の戦略会議でも、オユナの「象徴」としての一面だけではなく、いち組織のリーダー、そして社会を変えようとする活動家として、具体的にどのように課題を解決していくのかを、私たちとも徹底的に議論する姿勢がとても印象的でした。

また、実際に向き合ったオユナは、とても真摯で謙虚なリーダーでした。彼女の姿勢が、「自分も対等な立場で意見を交わしていいし、むしろそうするべきなのだ」と自然と思わせてくれたのです。気づけば、私も背筋を伸ばし、彼女と真正面から対話をしていました。

そんな、情熱と行動力、そして圧倒的な実行力を持つオユナだからこそ描ける、モンゴルの新たな未来を、私たちチーム一同、確信しています。これからもオユナの挑戦を発信し、皆さんと共に、モンゴルでより多くの人々が安心・安全なトイレを使うことが「当たり前」となる未来を実現するために、彼女の活動を全力で応援していきたいと思います!

インパクトヒーロー支援事業インターン 飯島百々葉