10月 20, 2024

【ご報告】IMPACT HERO 2022 サミール・ラカーニ、2024 スリヤ・カルキ来日レポート

Earth Companyの10周年記念イベントにあわせてIMPACT HERO 2022 サミール・ラカーニ、IMPACT HERO 2024 スリヤ・カルキの2名が2024年10月1日〜10日、日本を訪れました!なにより、これまでの10年間で築いた皆さんとの信頼と絆とネットワークこそが、サミールやスリヤに多くの実りを生み出す結果となった、10周年という節目になんとも感慨深い来日となりました。そんな今回の来日の様子をお届けします!

IMPACT HERO2022 サミール・ラカーニ

 

訪れたカンボジアの農村で、洗濯洗剤で赤ちゃんを洗う母親の姿を見て衝撃を受けたサミ―ル。衛生状態が悪いことで下痢や感染症など予防可能な病気で命を落とす子どもたちを一人でも減らすため、2014年にEco-Soap Bankを設立。毎年世界中で2.5億個分も廃棄されている、石けんを作る過程で生じる未使用石けんを回収してカンボジア・ネパールなどアジア・アフリカの5つの拠点で、貧困層の女性を雇用してリサイクルを行い、NGOや国際機関と連携して必要な人に届ける活動を行っています。この活動を通して、廃棄物削減、女性の雇用創出、衛生習慣と健康改善に同時に取り組んでいます。

IMPACT HERO2024 スリヤ・カルキ

 

就学児童の4人に1人が8年間の基礎教育を終えられないネパール。スリヤはシングルマザーの母親の教育への強い熱意により、徒歩で2時間半かけて学校へ通い、さらに7歳の時には国の奨学金を得て全寮制学校へ進学。その後海外でも教育機会を得てネパールに戻ってきたとき、農村部の現状を見て教育改革に取り組むことを決意しました。2015年にUWSネパールを創設して以来、82校の小・中学校を設立し、14,000人以上に教育を届けてきました。包括的なアプローチにより提携学校での基礎課程修了率は98%を誇っています。政府・地域コミュニティと連携して持続可能な学校運営のモデルを確立し、国内の教育格差解消に取り組んでいます。

 

サミール&スリヤ 来日サマリー

面談数

17件

来日してお会いした方

243人

メディア対応

2件

Table of Contents

 

  1. 来日ツアーの目的

  2. 来日ツアーハイライト

  3. 来日の成果

 

 

 

1.来日ツアーの目的

 

サミールは「全世界で毎年未使用で捨てられる廃棄石けん2.5億個の全てをリサイクルして必要な人へ届ける」という目標を掲げています。現在サミールの工場でリサイクルできる廃棄石けんは、全世界の廃棄石けんの10%程度です。目標へと近づくため、1社でも多くの固形石けん製造業者と連携し、工場から原料となる廃棄石けんを集め、リサイクルするための設備の拡充を進めています。

スリヤは教育機会が圧倒的に不足するネパールの僻地に2030年までに700の小中学校を設立・運営し、10万人の子どもたちに教育を届けることを目標としています。それには、まだまだたくさんの学校設立支援者、そして設立を支援くださるパートナー学校や企業が必要です。

そこで、今回は以下の2つを来日の目的としました。

①インパクトヒーローやEarth Companyの活動を支援いただいている方々に感謝の気持ちを直接お伝えする

②2人の事業と協働できる可能性のある日本の企業・学校とのネットワークを拡大する

 

 

2.来日ツアーハイライト

 

➀ 同志であるみなさまと想いを共有し、会場が希望と可能性で溢れた日!

 

・ヒーローズトーク登壇@Earth Company 10周年記念イベント「Re: Earth~地球まるごと共繁栄へ!」

 

 

Earth Company10周年記念イベントの「ヒーローズトーク」に登壇し、”チェンジメーカーが描く「リジェネラティブ」なあり方”というテーマで、2人のこれまでのライフストーリーや活動紹介を行いました。2人の生い立ちを聞き涙を流す参加者の方もいらっしゃったほど、会場の皆さんにインパクトヒーローの活動にかける想いをダイレクトに体感いただき、会場全体が大きな感動と希望に包まれました。

さらになんと、2人のお話に共感いただいた方々から、廃棄石けんを提供いただける可能性のある企業のご紹介や、新たな学校建設のお申し出をいただくなど、今後の活動の発展につながる更なるご縁も!彼らのストーリーや想いに共感してくださる方がこんなにいらっしゃることに、感無量でした。そんな大盛況で熱気に溢れた10周年イベントの様子はこちらからご覧ください。

 

・株式会社 日ノ樹様訪問

 

 

Earth Companyを設立初期の頃から長年ご支援くださっている株式会社 日ノ樹様のオフィスを訪問し、2人の活動をインパクトヒーローからご紹介しました。日ノ樹様は、来日前に行われたサミールのクラウドファンディングにおいても多額のご寄付を賜り、今回サミールの感謝の気持ちを直接お伝えすることができました。また、サミールが世界の年間廃棄石けん量100%をリサイクルして、必要とする人たちに届けることを目指していることにも共感されていました。

 

②クラウドファンディング・来日から広がる支援の輪~思いがけない支援者の方との出会い!

 

 

サミールとインパクトヒーローチームが、3年間の支援をどのように終えるのが最も効果的かミーティングを行っていたとき、1本の電話がありました。その内容はなんと、「夫が遺してくれた200万円をサミールの事業に寄付したい」というもの!私たちも全く予想だにしていない、とてもありがたいお申し出で、サミールは感動のあまり思わず涙が。お話をしているとそのご支援者の方も近くにいらっしゃるとわかり、急遽ご自宅を訪問させていただきました!

来日前に行ったプロジェクトでは、80万人の難民にリサイクル石けんを届けるために、石けん製造機1台分の購入費約1000万円の調達におかげさまで成功しましたが、実際に必要なのは、実は2台の石けん製造機でした。しかし円安の影響もあり、2000万円を集めることはさすがに難しいだろう、とプロジェクトでは1台分の購入費調達を目標としておりました。しかしなんと、目標達成後も有難いことに数件の大口寄付のオファーが続き、今回のご寄付も加わって、なんと2台目の製造機購入のための目標額にもかなり近づいてきました!2台目を増設することができれば、アフリカの4つの難民キャンプに住む20万人の難民の人たちにも石鹸を届けることができるようになるのです!

クラウドファンディングや今回の来日がきっかけとなり、サミールの挑戦を知って共感してくださる方々の輪が、私たちに見えていないところでも、確実に広がり続けていることを実感した出来事でした。

 

 

学校訪問によるパートナーシップの強化・共創

 

・ブリティッシュ・スクール・イン・東京

 

 

ブリティッシュ・スクール・イン・東京(BST)は、東京にあるインターナショナル・スクールで、スリヤが運営するUWSネパールの設立パートナー学校でもあります。生徒たちのファンドレイジングと学校の支援により既に1校がネパールに建設され運営されています。スリヤはBSTで計4クラスの生徒たちにネパールの教育の現状を伝え、生徒たちは彼らの通う学校とはかけ離れた様子に驚きながらも、積極的に質問していました。

来日前に、BSTからUWSネパールへ2校の建設・運営費用の支援がすでに決まっていましたが、この訪問を経て、なんと追加で2校の支援が検討されることに!来日訪問を通じて、BSTとのパートナーシップがますます強化されました!

 

・ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン

 

 

長野県・軽井沢にあるインターナショナル・スクール、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)ISAKジャパンを訪れました。UWCは全世界18ヶ所にあり、世界各国から選抜された高校生を受入れ、教育を通じて国際感覚豊かな人材を養成することを目的とする国際的な民間教育機関で、スリヤ自身もUWCの高校を卒業しています。

ISAKジャパンでは生徒が自らテーマを定めて取り組むプロジェクト活動が盛んに行われており、その1つでありネパールの社会課題解決のための活動を行う「プロジェクト・ネパール」とは、来春早速UWSネパールとの連携が始まることに!

 

 

ISAKジャパン代表理事の小林りんさんも、分刻みのスケジュールの合間をぬって駆けつけてくださいました!

スリヤ自身UWCの素晴らしさを身をもって体験したことから、「UWSネパール」という団体名は、実は「UWC」の名前にインスパイアされつけられた名前。スリヤは僻地の小中学校82校のみならず、82校の中でも最優秀な女子を集めてハイレベルな教育を提供する進学校も2校運営しています。その学校からいずれ、ISAKジャパンへ進学できる奨学生を輩出することはスリヤの夢のひとつ。今回UWC国際本部をご紹介くださることとなり、もしかすると、将来的にUWSネパール x UWC / ISAKの連携が生まれることも、夢ではないかもしれません!

実はこれ以外にも、何かとISAKジャパンとのご縁が多いEarth Company。今後様々な共創がここから生まれていきそうな予感を感じる訪問でした!

 

 

 

複数プロジェクトの可能性が目白押し?!

 

・日本財団

 

 

軽井沢から東京に戻ってきたその足で、日本財団日本財団ボランティアセンターを訪問しました。

代表・濱川明日香の3.11復興支援時代からのご縁で、日本財団とはEarth Companyでもバリ島や東ティモールへのスタディツアーを共催するなどの連携をしてきていますが、3.11から始まったこのご縁が時を経て何重にも発展し、ここでも複数の連携が生まれる可能性が!まだ多くを語れませんが、2030年までにネパール僻地で教育機会が欠如する子どもたちのために700校設立する計画のために、善きご報告ができるよう、努めます!

 

ちなみに…

 

日本財団はファッションブランドから寄付される廃棄服を、シーズンごとにIMPACT HERO 2015 ベラを通して東ティモール大統領府に寄付し、大統領府から最貧困層の国民に配布しています。この日はたまたまボランティアさんたちが、次に東ティモールに送られる180箱分の服を梱包してくださっていて、直接お礼を伝えることができました!

 

 

 

3. 来日の成果

 

サミールは、3年間の伴走支援初年度の2022年にEarth Companyが実施したクラウドファンディングで初めて石けん製造機を購入し、事業拡大の一歩を踏み出しました。

そこから3年間で事業規模を着実に発展させ、累計1000万人に石けんを届けるという偉業を達成!この3年で、サミールがリサイクルすることができる世界の廃棄石けんは、全体の3%だったところから5%に、そして今回のクラウドファンディングで10%に、さらに石けん製造機もう一台を購入できれば15%に拡大します!100%を目指して道筋も描き始めています。今回の来日では、これまでのEarth Companyの支援がもたらした成果の軌跡とインパクトをお互いに確認することができ、3年間の支援の締めくくりに向けて、非常に有意義な振り返りの機会を持つことができました。

 

 

スリヤは今年が3年間の支援の初年度となります。今回Face to Faceで支援のキックオフミーティングを行ったことで、スリヤの事業のスケールや秀逸な仕組み、また2030年の壮大なビジョンと実現に向けたロードマップ、そしてそれに向けてEarth Companyとしてどのような支援を提供することがインパクト最大化につながるのかということを一緒に確認することができました。

Earth Companyのインパクトヒーロー支援プログラムは、ヒーローたちとインパクトヒーロー支援チームの信頼関係をベースに成り立っています。サミール、スリヤともに、今回このタイミングで日本で再会することができたからこそ、2人との関係性が強化され、それぞれ良い形で支援の終了・開始をすることができることを実感しています。

 

 

このタイミングで日本に来ることができたからこそ、つながったご縁、生まれた協働の可能性がたくさんありました。こうしたご縁をインパクトの実現につなげていけるよう、引き続き伴走していきますので、ぜひ今後ともインパクトヒーローおよびEarth Companyの応援を、よろしくお願いいたします!

インパクトヒーロー支援チームからのコメント

 

私は昨年まで飲料メーカーの人事部門に勤めており、今年4月から1年間トレーニーとしてIMPACT HERO支援チームに参加しています。

今回の来日ツアーで何より心強く、そして温かく感じたことはIMPACT HEROとEarth Company、そして支援者のみなさまとの”距離の近さ”でした。サミールも10周年記念イベントの中で、Earth Companyのことを”ファミリー”と言ってくれていましたが、まさに人と人として、真正面からお互い向き合っているからこそ、これだけ大きなインパクトをもたらすことができているのだと実感しました。

ヒーローたちが日本にきて、実際に会って話すからこそ伝わるパワーの大きさもとてつもなく、このタイミングでつながることができたからこそ、たくさんの”共創”を生むことができました。こうして人の想いがつながっていくことで、リジェネラティブな未来に向かっているという手ごたえを感じることができました。今回の来日にあたりご協力、ご支援をいただいたみなさま、本当にありがとうございました。

 

IMPACT HERO支援担当
佐藤 夢木