5月 23, 2024

【ご報告】ヒーローズ・バリキャンプ2024を 開催しました

2024年4月、Impact Heroes 2024年度生として選ばれた5カ国8名のチェンジメーカーをバリに招へいし、「ヒーローズ・バリキャンプ」を実施しました。Earth Companyが取り組む、リジェネラティブな未来づくりを牽引するチェンジメーカーたちへの新しい形の支援プログラム。多くの気づきや学び、笑いと涙、感動と温かい抱擁に溢れた特別な5日間をご報告します。

1分で感じられるバリキャンプの雰囲気!

1. プログラムの趣旨

Earth Companyは、Impact Heroes 2024年度生へ「Lead-to-Regenerate (”リジェネレーションを牽引する”。略してL2R)」と冠した1年間のリーダーシップ・プログラムを提供しています。アジア太平洋地域の課題解決に取り組むチェンジメーカーたちが、リジェネラティブな未来づくりに必要な知見やリソースを得られるよう、①オンラインセミナー、②ヒーローズ・バリ・キャンプ、③メンタリングと機会創出、という内容で支援を行っています。

今年で3回目の実施となったヒーローズ・バリキャンプでは、過去の経験を踏まえ、

  • ヒーローたちが自分自身を振り返る機会をつくる
  • ヒーロー同士のつながりを深める
  • 事業インパクトの拡大のために必要な知見やリソースを提供する

という3つにおいて明確な成果を出せるようプログラムを構成し、準備を進めました。

キャンプ前には各ヒーローから1時間ずつ聞き取りを行い、それぞれの支援ニーズや課題をより明確に把握したうえで、メンタリング・セッションの内容や、潜在支援者とのつなげ方などについて検討を重ね、実施に至りました。

 

2. プログラム内容

 

DAY0 ウェルカムディナー

 

 

インド、インドネシア、ネパール、ソロモン諸島、フィリピン、アメリカの各地から8人のヒーローたちがバリ島ウブドに集結!Earth Companyのビジョンを体現するMana Earthly Paradiseの環境と食事に、大感激、大満足のヒーローたちでした。

 

DAY1

オリエンテーション

 

 

参加者の一人ディーパック・ラモラ(写真後列中央)のリードで、自己紹介アートワークを行いました。自分の名前の由来を工作で表現したり、他人から見える自分を知るため2人1組でお互いの似顔絵を描くワークは、笑いあり、涙ありで大盛り上がり!ヒーローたちが自分自身について語り合い、お互いへの理解を深めることができた、楽しく温かい時間となりました。

 

Pechakucha(ペチャクチャ)ナイト@グリーンスクール

 

 

バリキャンプのハイライトの一つは、世界で一番エコな学校と呼ばれるGreen Schoolを会場に、その保護者会(The Bridge)と共催した「ペチャクチャ・ナイト」と題するプレゼン・イベントです。「ペチャクチャ」とは、1スライド20秒×20スライドで行うプレゼンの形式で、8人のヒーローたちが、それぞれ取り組んでいる課題や自身の背景、実現したい未来について、この形式に則って発表します。

百戦錬磨のヒーローたちですが、誰もがこのプレゼンには相当のプレッシャーを感じながら準備とリハーサルを進めており、その緊張感は横にいる私たちにも伝わってくるほどでした。さてその結果は???

大・大・大成功!!!8人全員、誰一人劣ることなく、それぞれ傑出した個性を発揮しながら、課題解決にかける心からの想いを語ってくれたことで、会場中が沸き起こる感動・感銘と涙に包まれ、約1時間半のイベントはスタンディング・オベーションで幕を閉じました。

 

 

生憎の大雨にも関わらず50名以上の方が会場にいらっしゃいましたが、その場でヒーローたちへの具体的な支援を申し出てくださる方もあり、その一部をここでご紹介したいと思います。

  • インドネシアでHIV陽性者を雇用したソーシャル・ファッションビジネスの立ち上げを計画中のスコットに対して、オランダでファッションブランドの経営経験を持つ方から継続的なメンタリング・セッションを提供することに。
  • インドで低所得者層向けの医療保険ビジネスを行うリアンに対して、アジアの金融業界での実績を持つ方が、銀行パートナーを紹介。

またこのイベントの成功を受けて、今後Green SchoolとEarth Companyのパートナーシップをさらに深めた取り組みを計画しています。

 

DAY2

メンタリングによる個別支援

 

3日目は朝9時から午後5時まで、各ヒーローの事業インパクトの拡大に必要な知見やリソースを提供するメンタリング・セッションを行いました。事前に行ったニーズ調査をもとに適したメンターを配置し、例えば以下のような支援を提供しました。

  • ミリセント(ソロモン諸島): 3年間の財務計画、自団体のウェブサイト案の作成
  • ディーパック(インド): 事業拡大戦略を、グリーンスクールのカリキュラム策定経験を持つメンターと検討
  • スコット、サクディア(共にインドネシア): ミッション・ビジョン・プログラムの整理、ソーシャルビジネス立ち上げの財務モデル作成

メンタリングによる個別支援は、バリキャンプ後も年末まで適宜継続します。

 

ネットワーキング・ディナー

 

バリ島在住でヒーローたちの支援者となる可能性がある方たちをお招きしたネットワーキング・ディナーをManaで開催。社会的企業やNPOの経営者や富裕層向け寄付アドバイザー、インパクト投資家など11名の関係者をお招きし、気軽な雰囲気のなかでヒーローたちとより深くコミュニケーションをとってもらえる場をつくりました。

ゲストの一人からは「毎年これだけの逸材を世界中から集めて、支援を行っているEarth Companyはすごい。ぜひヒーローたちを自分の知人に紹介したい」という声もいただきました。

DAY3

「リジェネレーション」&ロビン・リムとの対話@ブミセハット助産院

 

IMPACT HERO 2016 ロビン・リムが運営するブミセハット助産院を訪問。まず代表濱川明日香が「リジェネレーション」のトピックで講演。現代社会のあり方における課題や、個人・組織・社会のウェルビーイングのつながりなどについて説明したところ、自身のあり方をリジェネレーションという観点から改めて見直したヒーローたちから、活発な意見共有が行われました。

その後ロビンを交えて、「愛」を根底にして人に寄り添う彼女の包括的なアプローチや、チェンジメーカーとして活動するうえで自己犠牲の上に成り立つのではなく、自分自身を大切にすることで他者に手を差し伸べ続けることができるという「リーダーとしてのあり方」について、さらに議論を深めました。

深い内省を経て涙するヒーローもいて、それぞれが自身の中にある囚われや枠と向き合い、そこから「リジェネラティブ・リーダー」としてどうシフトするかを考えるきっかけとなった時間でした。

 

DAY4

振り返り

 

プログラム最終日、ヒーローとEarth Companyチームは、バリキャンプを経て自分の中に起きた変化や持ち帰りたい学びを振り返り共有しました。

事業や組織の運営に役立つ実践的な学びを得ただけでなく、安心して自分を受入れてもらえる友人・仲間が出来たこと、自分自身や事業を見る新しい視点を得られたことなど、ヒーローたちがそれぞれの言葉で、この3日間の経験がいかに濃密で、人によっては今後の人生を変えるほどの影響となったかを語りました。2時間半ではまだ語り尽くせない想いを共有しながら、涙と抱擁でバリキャンプの全プログラムを終了しました。

 

3. ヒーローたちの声

バリキャンプについて語ってくれたヒーローたちの言葉を一部ご紹介します。

 

「このキャンプでの経験を一言で表すなら、私は”蘇った(resurrected)”と表現したいと思います...違法伐採を行う犯罪者から命がけでチェーンソーを取り上げる活動を続けるなかで、これまで13人の仲間を失いました。そんな危険に向き合う仲間たちを指揮する立場で、自分は笑顔を失っていました。しかし、自分がこの世を去る時には、『強いチェーンソーマン』としてではなく、『笑顔と優しさに溢れる人』として人々に覚えていてもらいたいと、忘れていた想いに気づいたのです」

ボビー・チャン/フィリピン

「これまで社会起業家として強くあらなくてはいけないと自分に言い聞かせてきました。一方で、その強さゆえに共に働くスタッフたちを怖がらせてしまっていたのかもしれないと気がつきました。バリキャンプが、ヒーローたちと共にある『場』を作り出してくれたことで、これまでのチェンジメーカーとして自分を振り返ることができました」

アイーシャ・ヴェラユー/フィリピン

「私は厳格なイスラムの家庭の中で、暴力やDVの痛みや怖さに怯えながら育ち、今でもその傷を抱えています。バリキャンプを通じて自分の中で抱えていたトラウマと改めて向きあい、ヒーローたちやロビンからの愛を受け、新しい旅路が始まったと感じています」

サクディヤ・マルフ/インドネシア

「これまでもいくつかのアクセラレーション・プログラム(*社会起業家支援プログラム)に参加したことがありますが、Earth Companyから受けた支援はそのどれにもはまらない、それ以上のものだと実感しています」

スルヤ・カルキ/ネパール

 

4. おわりに

 

このキャンプは、単にバリ島にヒーローたちが集まったというだけでなく、参加者全員にとって「変革の旅」となったという確かな手応えを感じています。Earth Companyは、一人ひとりのニーズに合わせたサポートを提供し、深いつながりを育み、実践的なスキルと個人のウェルビーイングの両方を重視することで、リジェネラティブ・リーダーの育成に効果的なプログラムを、さらに進化・深化させています。

キャンプを終えそれぞれの地に戻ったヒーローたちは、バリ島での学びや出会いを自身の成長の種として育て始めています。そんなヒーローたちの挑戦を今後半年かけてEarth Companyもサポートしていきます。

そしてL2Rプログラムの前半終了時には、この8名の中から1名のIMPACT HERO 2024が選出されます!どうぞ楽しみにお待ちください!

 

最後になりますが、本ヒーローズ・バリキャンプは、サントリーホールディングス株式会社からのご支援で実現できました。他にもキャンプ開催にあたって、様々な形でご支援、ご協力くださった皆さまには、この場をお借りして心より御礼申し上げます。

どうか引き続き、リジェネラティブな未来づくりに取り組むヒーローたちを応援いただけますよう、宜しくお願いいたします。