【ご報告】IMPACT HERO 2017 キャシー:マーシャル諸島の気候変動特命大使として参加したCOP25での活動報告

小泉進次郎環境大臣が参加したことで、期間中は連日ニュースでも頻繁に取り上げられていたCOP25(第25回国連気候変動枠組み条約締約国会議、2019年12月2~13日スペイン・マドリードで開催)。このCOP25に、Earth Companyが支援するIMPACT HERO 2017のキャシー・ジェトニル・キジナー(マーシャル諸島共和国、気候変動活動家)も、マーシャル諸島の気候変動特命大使として、参加しました。

2014年に国連で気候変動に関するポエトリーリーディングを行い、世界から称賛されたキャシーは、パリ協定が採択された2015年のCOP21以降、活動家・アーティストとして招待され、天性の「言葉力」で気候変動の脅威を世界に訴えてきました

4回目の参加となったCOP25ではより政治的な役割を担い、気候変動の影響を最も受ける国を代表して各国の代表と積極的な議論を交わすなど、大活躍したキャシーの活動をご紹介します。

1. 小泉進次郎環境大臣と日本・マーシャル諸島共和国の二国間会談を実施

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キャシーは今までに、小泉環境大臣と2回の面会が実現しています。

1回目は、2019年10月の来日時。この時はEarth Companyが面会を設定し、議員会館を訪問しました。

その際に、キャシーがマーシャル諸島の海面上昇のシミュレーションを説明し、その現実に衝撃を受けた小泉大臣は、天皇陛下即位礼正殿の儀への出席のため来日するキャシーの母親であるハイネ大統領との面会を希望。数週間後に、ハイネ大統領と小泉大臣の会談が実現しました。

2回目の面会は、お互いに国を代表する立場として参加したCOP25 での二国間会談となりました。この会談は、キャシーの依頼によりEarth Companyが面会を調整。キャシーは小泉大臣に対し、ハイネ大統領が安倍首相に「太平洋諸国は日本がリーダーシップをとって世界をリードすることを期待をしている。ぜひ、2020年には日本の排出削減目標を引き上げてほしい」という親書を送った件に対し、小泉大臣にも後押ししていただけるよう訴えました。

日本は、石炭火力発電の継続利用や増設を基本方針としていることに対し世界から大きな批判を浴びています。

小泉大臣は、今年は積極的な対策を発表できなかったものの、今後は排出削減目標を引き上げる方向で交渉したい、と意思表明をしてくださったようです。

2. パリ協定へのアクションを求める
Twitterの#キャンペーン 「#MAD4Survivor」 を始動

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気候変動に脆弱な48の途上国が加盟する国際パートナーシップである気候変動脆弱性フォーラム(CVF)の議長国であるマーシャル諸島共和国は、今回のCOP25で #MAD4Survival というSNSキャンペーンを行いました。 MAD4Survivolとは、Madrid Ambition Drive for Survivalの略称で、パリ協定達成に向けて、CVF各国と共により野心的に行動する意思のある国や団体、個人に対し、このハッシュタグを使ってその旨を表明するよう求めたムーブメントです。

キャシーは、MAD4Survival キャンペーンについて

私たちは生き抜くために必死で闘っています。私たちが置かれている状況に、そして、力を持つ巨大で裕福な国の犠牲になってしまわないように。だから今回のCOP25でこのキャンペーンを始めました。もし、まだ私たち人類にチャンスが残されているならば、もっと野心的に気候変動問題に立ち向かわなければいけません。いまは、行動の時。残された時間はもう少ないのです

と想いを語りました。

しかし、結果として今回のCOPで大きな排出削減目標が約束されることはありませんでした。

会議の結果に対して、マーシャル諸島気候変動特命大使・Tina Eonemto Stegeさんは

「非常に残念ながら、今朝受け取った(COP最終日)声明には、私たちが求めている内容が反映されませんでした。我々はより野心的な目標を設定するこができなかったことを残念に思います。来年からパリ協定が施行されますが、私たちの子どもや子孫が気候変動の脅威におびえることなく暮らすためには、来年こそ温室効果ガス削減目標の引き上げを実現しなければなりません」

と今年の会議の内容に危機感を表しつつ、来年度の使命感を露にしました。

3. 環境NGOグリーンピース主催のセッションに
元ツバル大統領と元キリバス大統領と共に参加

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国際環境NGO・GreenPeaceが主催するパネル「Not Without My Neighbour」に、元キリバス大統領・元ツバル大統領と共に登壇しました。

4. Energy Action Eventで気温上昇を抑えるために国・エネルギー事業者がすべきことを強調

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12月7日に開催されたこのイベントでは、イタリア大手電力事業会社、インド大手自動車会社、イギリス再生可能エネルギー事業会社が登壇し、気温上昇を1.5度に抑えるために国や企業が実行すべきことやそれぞれが行っている事例を説明しました。

キャシーはこのセッションで、マーシャル諸島共和国は気温上昇1.5度に抑えるための国の計画を既に提出していることを強調。

また、マーシャル諸島は海抜は2mであり、海面上昇によって国が消滅する危機に直面しているという立場を伝えつつ、島の海抜に上昇工事や人口島の建設など、科学者や専門家を交えて海面上昇に対する具体的なアクションを計画していかなければならず、既に準備は開始していると伝えました。

※キャシーの登壇は、開始から約1時間1分後に始まる「Segment 2 Mind the Gap: Overcoming Barriers to a 1.5°C pathway」になります。

5. マーシャル諸島のユース気候変動活動家がグレタさんと共に記者会見

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12月9日、マーシャル諸島のユース気候変動活動家のCarlon Zackhrasさんはグレタ・トゥーンベリさんと並んで記者会見に参加しました。

Zackhrasさんは、Kathyが運営するNGO・Jo-jikumのリーダー育成プログラムの参加者です。彼はスピーチの中で、自国が気候変動によって消滅に危機にあること、自国が排出している温室効果ガスは世界の0.00001%であること、自分と同じ世代の若者たちが気候変動に立ち向かうために行動を起こしていること、を強調しました。

「今までに経験したことがない危機に直面した時こそ、新しい解決策が生まれます。そして、そのようなアイデアは僕らのような若者から生まれることもあります。気候変動の現実を世界に伝えなえればいけない。2メートルの海面上昇で自分の国を失いたくない。気候変動との戦いを終わらせなければいけない。

これが僕が聞いてきた同世代の言葉です。僕は、マーシャル諸島や気候変動による水没の危機にある国の若者を代表してこの場所に立っています。僕たちの故郷を奪わないでください」

太平洋諸国の若者の代表としての彼の発言は、大会内でも注目を集め、COP25においてマーシャル諸島共和国の存在を感じるスピーチの一つとなりました。

6. COP25の成果とこれからのキャシーの活動

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2020年からのパリ協定施行前の最後のCOPとなった今回。過去最長の会期延長となりましたが、最終的に開催前に期待されていたほどの各国の合意を取ることはできずに終了しました。今後、同協定の本格始動までに、温室効果ガスの排出大国との隔たりをどこまで埋められるかが重要となります。

キャシーは特命大使として初の参加となり、各国の代表者と肩を並べて交渉に励みました。

また、Jo-jikumの環境教育プログラムの参加者であるCarlon Zackhrasさんが太平洋諸国の若い世代を代表してスピーチを行ったことは、Jo-jikumが目指してきた気候変動に立ち向かう次世代リーダーの出現という観点では、活動が実った瞬間でもありました。Zackhrasさんのようなユースがロールモデルとなり、より多くの次世代リーダーたちがマーシャル諸国の未来をナビゲートしていくことはキャシーが描くマーシャルの未来でもあります。

 

COP25は終了しましたが、キャシーは引き続き、

1)ハイレベルで気候変動の現状を訴えアクションを促すこと
2)人工島や島の高度を上げるなどの具体的な解決策の議論に貢献すること
3)草の根活動として、次世代リーダーの育成のための環境教育プログラムを行うこと

を続けていきます。一つのアプローチで気候変動が解決することはありません。あらゆる側面から、そして多くの人、団体、国を巻き込みながらムーブメントを加速させるキャシーの戦いは続きます。

Earth Companyとしての3年間の支援は2019年12月末で終了しますが、キャシーとJo-jikumの活動を、ぜひ引き続き応援よろしくお願いいたします。