1月 19, 2026

【発表】IMPACT HEROES CLASS OF 2026

2025年7月に公募を開始した IMPACT HEROES CLASS OF 2026 には、史上最多となる18か国105名から応募がありました。今回も素晴らしいビジョンと行動力を持ち、社会課題・環境問題に挑むチェンジメーカーたちが集まりました。多くの並外れた資質を持つ応募者の中から選考チームが慎重に検討を重ね、自信を持って選出した9名のヒーローたちをご紹介いたします!

IMPACT HEROES CLASS OF 2026 のご紹介

 

アジア太平洋の各地で変革を起こしている彼らの、人々を惹きつけるストーリー、そして課題解決に向けた取り組みを、ぜひご覧ください!

選出された9名は、これから1年間にわたり「Lead-to-Regenerate (L2R) アクセレレーション・プログラム」に参加し、「リジェネラティブな未来をつくるリーダー」として重要な考え方やアプローチ、また事業インパクトの拡大に必要なスキルについて学びます。

支援内容:Lead-to-Regenerate(L2R) アクセレレーション・プログラム

 

1.  オンライン・セミナー

1月から6月にかけて、リジェネラティブな未来を実現するために必要な知識やスキルを学ぶオンライン・セミナーを月1回提供します。

2. ヒーローズ・キャンプ IN バリ島

インドネシア・バリ島で、5日間にわたってヒーロー同士が共に過ごし交流を深めながら、バリ島のソーシャルセクターを通して潜在的支援者や連携パートナーと繋がる機会を提供します。

3. メンターシップ

各ヒーローの支援ニーズに基づき、事業開発、マーケティング、リーダーシップなどの専門家とのメンターシップを提供します。

4. 機会創出

各ヒーローの支援ニーズに基づき、Earth Companyのネットワークを通して得られる助成やアワードの情報、事業連携の機会等を随時紹介しています。

IMPACT HEROES CLASS OF 2026 のご紹介!

アーディティヤ・ライ(Aaditya Rai)

沈黙を強いられてきた現実に、ネパール初の〈LGBTQ+ × 障がい〉の声で風穴を開けた権利運動のパイオニア

活動国:ネパール

運営団体:Rainbow Disability Nepal

ミッション:障害のあるLGBTQ+の人々の平等と尊厳、地域社会の変革を実現する

障がいを持ち、かつゲイであることをカミングアウトし、2つの意味でマイノリティとして育ってきたアーディティヤ。10代の頃、孤児院を退所することになり、奨学金も失い、生きていくために約5年間セックスワークに従事した。その後、社会福祉学の学士号を取得し、LGBTQ+団体で働くようになった。

ネパールでは、障がいのあるLGBTQ+の人々が、LGBTQ+コミュニティと障がい当事者コミュニティの双方から排除されるなど、複合的な差別に直面している。教育、住居、就労へのアクセスの困難さ、法的保護の弱さから、当事者はさらに厳しい状況に追い込まれている。

2022年、アーディティヤは自身の経験をもとに、障がいのあるクィアの権利に特化したネパール初で唯一の団体「Rainbow Disability Nepal」を設立。アドボカシー活動、リーダーシップ研修、カウンセリング、教育支援、コミュニティプログラムを通じて、これまでに数百人の障がいのあるLGBTQ+当事者を支援すると同時に、政策提言や公共の場を通じ、当事者の声を社会に届ける重要な役割を果たしている。

フェインタ・S・ネゴロ(Fainta S. Negoro)

企業キャリアを手放し、水の専門知でインドネシアの水資源の危機に挑む社会起業家

活動国:インドネシア

運営団体:Jaga Semesta

ミッション:インドネシアの水源を地域社会と協力して守り、リジェネラティブな未来を築く

幼少期からたびたび水不足を経験して育ったフェインタ。20年以上にわたり、企業で水資源管理の分野でキャリアを築いてきた。しかし、インドネシア全土で水危機が急速に深刻化する中、従来のアプローチには限界があると痛感。2023年に退職し、ジャワ島とバリ島を巡り、湧水や河川の現状を記録して歩いた。

インドネシアは2040年までに深刻な水源危機に直面すると予測されており、特にジャワ島は最もリスクの高い地域とされている。森林減少や気候変動、表面流出の増加により地下水の涵養が妨げられ、水不足地域は拡大し、干ばつが頻発している。フェインタはこうした状況を目の当たりにし、地域住民自身が水を守る主体となる必要性を強く感じた。

その経験から2023年にJaga Semestaを設立。地域コミュニティと協働し、湧水の再生、在来樹木の植樹、帯水層の回復に取り組んでいる。個人の旅として始まった活動は、現在では10の地域拠点を持つ全国的なムーブメントへと成長し、人と自然の双方にとって持続可能な水へのアクセスを広げている。

ギリシュ・メータ(Girish Mehta)

孤児院出身という原体験を力に、施設退所後の若者に「新たな人生」を届けるインドの若きリーダー

活動国:インド

運営団体:CareLeavers Inner Circle(CLiC)Forum

ミッション:「二度と“二度目の孤児”を生まない世界」をつくる

幼少期に父親を失い、生きるために母親のもとを離れて、子どもながらに働く生活を送ったギリシュ。その後、12歳から孤児院で育ち、教育の機会を得たことが彼の人生を大きく変えた。しかし18歳で施設を退所した際、指針も支援もないまま社会に放り出され、「再び孤児になったように感じた」という。

インドでは、孤児院などの施設で育った18歳の若者が、毎年およそ3万〜5万人、施設を離れている。彼らは「ケアリーバー」と呼ばれ、多くは十分な生活スキルを持たず、不安定な住環境に置かれ、ときに身分証明書もないまま厳しい生活を強いられている。支援制度はあるものの情報が届かず、窓口もばらばらでつながらない「支援の分断」が生じ、自立への移行が困難になっている。

この課題に対し、ギリシュはCLiC Forumを設立した。ケアリーバー自身が運営するこのプラットフォームは、住宅、教育、就労、法的身分、メンタルヘルスの支援を結びつけ、デジタルポータルやヘルプライン、全国48のパートナー団体を通じて3,000人以上を支援してきた。現在は州政府とも連携し、インド初の全国規模「ケア離脱後セーフティネット」の構築を目指している。

ハイディ・クア(Heidy Quah)

18歳で立ち上がり、マレーシア国内の5,000人以上の難民の子どもに学びの希望を届けてきた教育リーダー

活動国:マレーシア

運営団体:Refuge for the Refugees

ミッション:教育とアドボカシーを通じて尊厳と希望を取り戻し、避難民が未来を再建する

マレーシアで育ち、都市部で低賃金労働に従事する女性たちの中には、法的地位を持たない難民が多く存在することを知り、「なぜ同じ社会に生きながら、ここまで排除されるのか」という疑問を抱いて育ったハイディ。脆弱な暮らしを強いられる難民を支援するために、18歳の時にRefuge for the Refugeesを設立。

マレーシアでは難民は法的に認められておらず、就労、正規教育、医療へのアクセスが制限されている。登録の遅延や汚職、排外主義の高まりにより、難民家族は逮捕や搾取、暴力のリスクにさらされ、支援者自身も圧力や脅迫を受けている。

Refuge for the Refugeesはこれまで5,000人以上の難民の子どもに教育を提供し、700人以上に医療支援を届けてきた。現在は35の学習センターやシェルター、女性の生計支援プログラムを運営し、難民を「罰する」のではなく「守る」社会の実現を目指して政策提言を続けている。

ヘンドリック・カニキ(Hendrick Kaniki)

気候変動の最前線・ソロモン諸島で、私財と人生を賭して地域を守り続ける村で唯一の医師

活動国:ソロモン諸島

運営団体:Sirubai Voko Tribe Association

ミッション:自然資源を持続的に管理し、食料安全保障と環境保全を実現する

ソロモン諸島ベララベラ島の小さな村で育ったヘンドリックは、幼い頃から奉仕と共同体の価値を重んじて育った。フィジーで医学を学び医師免許を取得後、ソロモン政府の医療責任者として10年間従事したのち故郷に戻り、村唯一の医師として5,000人以上の住民の健康を守っている。

その故郷を含むソロモン諸島西部州では、違法伐採や森林破壊、海洋資源の乱獲、汚染、そして気候変動の影響が急速に深刻化している。村でも水源汚染や土地侵食が進み、交通手段の制約とあいまって、村人たちの健康、食料安全保障、生計に大きな影響を及ぼしている。

こうした現実を前に、ヘンドリックはSirubai Voko Tribe Associationを設立。医療と草の根の環境・社会活動を結びつけ、教育、ジェンダー平等、持続可能な生計、環境保全を推進し、地域の自然資源と文化を守りながら、長期的なレジリエンスの構築に取り組んでいる。

クマール・パウデル(Kumar Paudel)

密猟と権力に立ち向かい、ネパールで地域住民と共に科学と政策で絶滅危惧種の命を守る正義の研究者

活動国:ネパール

運営団体:Greenhood Nepal

ミッション:最も脅かされ、見過ごされてきた野生動物とその生息地を守る

ネパールと中国の国境沿いの村で育ったクマールは、幼い頃から野生動物と共に暮らしてきた。子どもの頃、センザンコウ*が密猟され違法取引される光景を目にした経験が、彼の保全への決意を決定づけた。

ネパールは世界有数の生物多様性を誇る一方、違法な密猟と野生動物取引により多くの種が絶滅の危機に瀕している。なかでもセンザンコウは、年間約17,000頭が密猟されていると推定され、その被害は深刻である。

こうした状況を変えるため、クマールはGreenhood Nepalを設立。研究、政策提言、人材育成を通じて科学的根拠に基づく保全を推進し、違法取引の実態や野生動物の重要性を社会に伝える発信を続けてきた。これまでに各種メディアやキャンペーンを通じて13年間で1,000万人以上に情報を届け、さらにレンジャー、警察、行政職員、地域住民など1,200人の実務関係者を育成した。30本の査読論文を発表するなど、長期的な保全体制の構築にも取り組んでいる。

*センザンコウ:全身をうろこに覆われた哺乳類。主にアリやシロアリを食べる。世界で最も密猟されている哺乳類と言われ、現在は絶滅危惧種に指定されている。

ネルリアン・ゴガリ(Nerlian Gogali)

宗教紛争の傷が残るインドネシア・ポソで、教育を通じて女性の声から平和を築く、地域に根ざすリーダー

活動国:インドネシア

運営団体:Institut Mosintuwu

ミッション:人と自然のための、公正で自立した社会を築く

インドネシア・スラウェシ州ポソでは1998年以降、政治的・経済的要因も背景に宗教間暴力が激化し、数千人が命を落とし、数万人が家を追われた。地域の暮らしは一変し、特に女性は避難や生計喪失、性的・心理的暴力など深刻な影響を受けた。それにもかかわらず和平の場からは排除され、教育・仕事・意思決定の機会を失った影響が、現在も日常生活に残っている。

ポソ出身のネルリアンは、紛争後に故郷へ戻り、女性や子どもたちの見過ごされてきた声を記録する活動を始めた。調査を通じて、暴力が何層にも重なる実態と同時に、宗教を越えた連帯の芽生えも明らかになった。また、難民キャンプで出会った女性からの「この研究は私たちの人生をどう変えるのか」という問いが、彼女を行動へと強く突き動かした。

ネルリアンはInstitut Mosintuwuを設立し、草の根教育を通じて平和とジェンダー正義を推進している。女性学校などの取り組みにより、520人以上の女性がリーダーシップと権利意識を育み、宗教やコミュニティを越えた信頼の再構築と、紛争後の地域再生を進めている。

チャン・グエン(Trang Nguyen)

山間部の最前線で、女性たちと共に野生動物を守り抜くベトナムの環境活動家

活動国:ベトナム

運営団体:WildAct Vietnam

ミッション:地域主導で持続可能な革新的な生物保全を推進する

8歳のとき、狭い檻に閉じ込められた野生の熊を目にし、「動物を守る」と心に誓ったチャン。学生時代から生物保全に関心を深める一方で、保全分野では女性がリーダーになる機会が限られている現実にも直面した。2013年には、がん治療を受けながらも、より開かれた保全のあり方を実現するためWildActを設立した。

ベトナムでは、違法な野生動物取引や過剰な狩猟、生息地破壊、そして不十分な法執行により、生物多様性が深刻な危機にさらされている。さらに従来の保全活動は外部主導で男性中心になりがちで、女性や少数民族、地域住民が意思決定から排除されることも少なくなかった。

「地域に根ざしたリーダーシップ」こそが持続可能な保全につながると信じるチャンは、科学的根拠に基づくプログラムを通じて地域の人材を育成し、住民自身が野生動物と自然を守る担い手となる仕組みづくりを進めている。

ワチャラポン・クカウカセーム(シア)(Watcharapon Kukaewkasem)

DV被害にあう移民女性と子どもたちに、タイ国境で安全と尊厳を取り戻す居場所を届けるアカ族リーダー

活動国:タイ

運営団体:Freedom Restoration Project

ミッション:サバイバー中心の支援を通じ、ジェンダーに基づく暴力をなくす

タイ国境地帯のアカ族移民家庭に生まれたシアは、幼少期から家庭内暴力を目の当たりにして育った。母親は言葉の壁と法的地位の不安定さのため助けを求めることができず、暴力は長いあいだ見過ごされてきた。教育と癒しのプロセスを重ねるなかで、シアは自身の経験を、同じ立場にある人々を支える力へと変えていった。

移民や難民が多く、法的保護や社会サービスが行き届きにくい状況にあるタイ国境地域では、家庭内暴力が深刻な課題となっている。特にミャンマーからの移民女性や子どもは、保護制度にアクセスしづらく、暴力的な環境から抜け出せない状況に置かれている。

2017年に設立したFreedom Restoration Projectは、国境地帯で唯一、移民のサバイバーに長期的かつ包括的な支援を提供する団体である。安全な住居、心理的ケア、職業訓練を通じて、尊厳ある自立と再出発を支えている。