5月 12, 2025

【イベントレポ】変革の担い手たちと共創する地球の未来「ヒーローズ・ナイト 2025」

2025年4月15日(月)から、Earth Company主催で5日間にわたってバリ島で開催された「ヒーローズ・バリ・キャンプ」。その2日目の4月16日(火)、ハイライトとなった「ヒーローズ・ナイト 2025」イベントには、定員を超える合計50名の投資家、NGOリーダーなど、バリ島でEarth Companyとヒーローたちを応援してくださっている皆さまが参加し大盛況! ヒーロー8人が、自身のライフストーリー、取り組んでいる社会課題への想い、そして描くビジョンを語り、リジェネラティブな未来を共に創る仲間の輪が広がり、さらに深まる場となりました。ここでは、当日の会場の様子をお伝えします!

目次

  • イベント概要
    スピーカー紹介 -Impact Heroes 2025年度生
  • イベント内容
    オープニング
    ヒーローズ・トーク
    Q&Aセッション
    クロージング
    ネットワーキングと参加者の感想
  • イベントの意義・成果

 

 

1. イベント概要

 

日時:2025年4月16日(水)18:00〜21:00

会場:Mana Earthly Paradise

 

<スピーカー紹介 - Impact Heroes 2025年度生>

 

Earth Companyは2019年から、毎年1人のインパクトヒーローへの伴走支援に加え、2030年までに100人のチェンジメーカーへ支援を届けることを目標とし、毎年最大10名のコーホートメンバーを選出。

今回のイベントでは、計8名のImpact Heroes 2025年度生が登壇者となり、それぞれ個性溢れる発表を行いました!

 

(1)マッチャ・ポーニン(タイ / 先住民族の権利向上)

(2)ルクシャナ・カパリ(ネパール / LGBTIQ+の権利向上)

(3)ウトカルシュ・サクセナ(インド / 司法制度改革)

(4)ムハンマド・タムジッド・ラフマン(バングラデッシュ / 輸血不足・医療格差)

(5)ティモシー・フィジャ(インドネシア / リジェネラティブ農業・リジェネラティブ観光体験)

(6)ニダ・ユサフ・シェイク(パキスタン / 気候変動・水不足・衛生)

(7)フレシュタ・カリム(アフガニスタン / 小学生の基礎学力向上)

(8)リチャ・グプタ(インド / 子どものウェルビーイング)

登壇者の詳細について知りたい方はこちら

 

 

2. イベント内容

 

<オープニング>

 

オープニングでは、共同代表である濱川明日香・知宏の挨拶、そしてEarth Companyの説明が行われ、ヒーローの紹介動画が流れた後、観客の大きな拍手とともに「ヒーローズ・ナイト 2025」の幕が上がりました。

 

<ヒーローズ・トーク>

 

プレゼンテーションは「Pechakucha Style」という方式で行われ、ヒーローたちは、10枚のスライドを各20秒、合計3分20秒という限られた時間のなかで、自分たちの活動にかける想いを発表しました。

ヒーローたちの熱い想いが観客の心を揺さぶり、それに応えるような温かい拍手と歓声が会場を包み込みました。会場全体が、ひとつの感動に満たされたような一体感に包まれていました。

残念ながらここではすべてをご紹介できませんが、特に印象的だった発言の一部を抜粋してご紹介します。

 

ウトカルシュ・サクセナ(インド / 司法制度改革)

「インドで可能なら、世界の他の多くの地域でも可能なはずだ。来週にはインドネシアでも何か始まるかもしれない」

インドの裁判所へのAIの導入により、1日に取り調べる証人の数と処理できる記録のページ数を従来の2倍に増やすことで、判決までに要する時間を30〜50%短縮したというウトカルシュ。彼がそう発した瞬間、会場は歓声と拍手に沸きました。

 

フレシュタ・カリム(アフガニスタン・小学生の基礎学力向上)

「誰もが困難な時代に夢を見ています。私の夢は、アフガニスタンで10年後に500の図書館を作ることです。限りなく不可能に思えることですが、私たちは夢を抱き、子どもたちの出発を支援するためにつながっています」

アフガニスタンの内戦から逃れ4歳で難民となったフレシュタが、その厳しい状況を受け入れつつ日々創意工夫を重ね、前進を続けようとする姿に、会場は深い共感と温かなまなざしで包まれていました。

 

<Q&Aセッション>

 

史上最年少ヒーローである17歳のタムジッドに、会場にいた13歳の起業家から「血液マッチングシステムの構想を始めたのはいつですか?」という質問があがって会場が盛り上がる場面も。

 

またバリ島でリジェネラティブ農業の推進に取り組むティムには、地元ということもあり会場から大きな拍手が沸き起こっていました。ティムには「バリでもっと多くの若者が農業に興味を持ち、積極的に参加するためには?」という質問があがりました。それに対する回答が印象的だったので、ご紹介したいと思います。

「観光業が盛んなバリで、若者が農業に関心を持つのは簡単ではありません。でも私たちは今、公務員や銀行員になるはずだった農業学校卒の30人の若者を雇用できています。それは未来への小さな希望です。『最近の若者はスマホばかり』と言われがちですが、バリ島の祝日『ニュピ』で使用されるお神輿『オゴオゴ』を作り、物語を紡ぐのも彼らです。

美しいバリ島の文化は、彼らの中に脈々と生きています。だから彼らに、先祖代々の土地をどのようにRegenerate(再生)させたいのか、そのストーリーをどのように伝えるのかが重要なのです。」

 

<クロージング・セッション>

 

クロージングでの、Earth Company共同代表の濱川明日香・知宏からのコメントをご紹介します。

「世界の痛みを、自らの力で希望に変えていく。そんなインパクトヒーローたちの姿に、私たち一人ひとりが『希望の一部』になれることを教えてもらいました。彼らの想いに共鳴し、つながり、歩みを共にすることで、私たちはよりよい未来への第一歩を踏み出すことができます。」(明日香)

「今日、インパクトヒーローたちの夢と挑戦に触れ、改めて『希望は行動から生まれる』と感じました。彼らのレジリエンスは、私たちが直面するどんな困難にも立ち向かう勇気を与えてくれます。こんな素晴らしい仲間たちと未来をつくっていけることに、心から感謝しています。」(知宏)

 

<ネットワーキングと参加者の感想>

 

イベント終了後、会場ではヒーローのもとへ参加者が集まり、カジュアルに会話を楽しむネットワーキングの時間も設けられました。8人のヒーローたちの想いに心を動かされた観客からはこんな声が!

ヒーローたちが取り組む活動に注ぐ、まっすぐで揺るぎないパッションに深く心を動かされました。

フレシュタが直面してきた困難を前にしても決して諦めない姿勢、そして内に秘めたレジリエンスに、私自身も大きな力をもらいました。

ヒーローの想いに心を動かされた娘が、自ら質問しに行く姿を見て、ヒーローが若い世代に与える力の大きさを改めて感じ、私自身も大きな希望とエネルギーをもらいました。」

 

 

3. イベントの意義・成果

 

2023年から継続して開催してきた「ヒーローズ・ナイト」は、バリ島・ウブドのコミュニティにおけるEarth Companyの存在と想いを、さらに深く根づかせる機会となりました。そして何より、このイベントを通じて生まれたインパクトヒーローと参加者の出会いは、今後「より良い未来」を共につくるための大切なつながりへと発展しています。

リジェネラティブへの「想い」に共鳴し合った人々が集い、温かくも創造性に満ちた空間が広がる中、ヒーローと参加者の間では、未来に向けた連携や協働の可能性について活発な対話が生まれました。

このような素晴らしいイベントを実現できたのは、Earth Companyを応援し、支えてくださっている皆さまのおかげです。これからもリジェネラティブな世界を目指し、より多くの仲間たちと一緒に歩んでいきましょう!今後とも、Earth Companyをよろしくお願いいたします!

 

舞台を華やかに彩るスクリーン装飾

 

「ヒーローズ・ナイト」で使用されたスクリーン。その周りの、各ヒーローを象徴するようにデザインされた華やかな装飾は、実はバリの伝統的なオブジェを作るのが上手なMana Earthly Paradiseスタッフ、Epaの手作りでした。

インパクトヒーロー支援チームのみならず、チームの垣根を超えてEarth Companyとして協力することで、今回のイベントを開催することができました。

 

インパクトヒーロー支援チームからのコメント

 

Earth Companyでのインターン1週目に参加したイベント「ヒーローズ・ナイト」は、同団体がバリで大切に育んできた、年齢や背景を超えてつながり合う「心の拠り所」のようなコミュニティの存在を肌に感じる時間でした。多様な背景をもつヒーローたちが、自らの痛みや信念をまっすぐに語る姿に、観客は息を呑み、時に大きな拍手と歓声で応えていました。

また、13歳の起業家からの問いかけが自然に飛び交うその空間で、誰もが受け入れられ、尊重されていることを実感しました。この一体感と深い共鳴は、ヒーローたちや参加者、そして私自身が希望と共に来へ歩み続ける力となると思います。

私は、この安心と信頼に満ちた温かい場所に居られたことに、心から感謝しています。

インパクトヒーロー支援事業インターン 藤﨑 駿