ヒーローズ・バリキャンプとは?
Earth Companyは、毎年アジア太平洋各地で変革を起こす、チェンジメーカーたちを最大10名選出し、「Lead-to-Regenerate (”リジェネレーションを牽引する”。略してL2R)」と冠した1年間のリーダーシップ・プログラムを提供しています。
そんなL2Rの一環である、「ヒーローズ・バリキャンプ」では、Impact Heroes 2025年度生が一堂にバリ島に集結し、彼らがリジェネラティブな未来を目指すリーダーとして、事業インパクト拡大に貢献する知見やリソースを提供する5日間のプログラムとなっています。
Impact Heroes 2025年度生についての詳細はこちら!
![[0] Heroes Bali Camp](https://www.earthcompany.info/wp-content/uploads/2025/05/0-Heroes-Bali-Camp-.png)
目次
- プログラムの目的
- プログラム内容
- ヒーローたちの声
- おわりに
1. プログラムの目的
今年で4回目の実施となったヒーローズ・バリキャンプの目的は、大きく以下の3つです。
- ヒーローたちが自分自身を振り返る機会をつくる
- ヒーロー同士のつながりを深める
- 事業インパクトの拡大のために必要な知見やリソースを提供する
昨年12月から支援を開始し、これまで計4回のオンラインセッションや個別の支援ニーズ調査を通じて、事業を運営・拡大していくための実践的な知識を共有し、ヒーローたち一人ひとりの現状とビジョンへの理解を深めてきました。
「今」求められる、メンタリングやネットワーキングといった支援ニーズに応えると同時に、ヒーローたちがリーダー、そしてビジョンに燃えるいち個人として、リジェネラティブなあり方や、事業を通じてのインパクトを追求できるよう、マインドセットの醸成と振り返りの時間も意図的に設計しました。
2. プログラム内容
<DAY 1>
ウェルカムディナー
初日は、インド、インドネシア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、アフガニスタン、タイの7カ国から集まった8名のヒーローたちとEarth Companyチームが一堂に会し、Mana Earthly Paradiseでウェルカムディナーを開催しました。
美味しい食事と和やかな雰囲気のなか、活動内容だけでなく、家族や趣味などプライベートな話題にも花が咲き、会話が途切れることはありませんでした。
<DAY 2>
バリの伝統的なセレモニー
プログラム1日目の朝は、バリの伝統的なセレモニーからスタート!
セレモニーでは、バリ・ヒンドゥーの文化に則り、参加者一人ひとりが花と祈りを手に、今回のキャンプが安全で実り多いものになるよう心を込めて願いました。伝統的な衣装を身にまとい、バリの大地に根ざした祈りの文化に触れながら、ヒーローたちは、この旅路のスタートに静かな意志を宿すひとときとなりました。
オリエンテーション
オリエンテーションでは、インドで子どもたちのウェルビーイングに取り組むヒーロー、リチャが進行役をつとめ、参加者同士が互いの想いを語り合うワークショップを行いました。
「あなたが抱えている痛みは?」「痛みを扱ううえで助けとなったのは?」「あなたにとっての希望は?」
それぞれが、自分自身の物語を言葉にしていくうちに、会場には涙をぬぐう姿や、あたたかな眼差しがあふれていきました。
ヒーローたちの、普段の「活動」を語るだけでは分からない、心の奥にある想いに触れ合ったことで、ヒーローたちの間に、確かな絆が生まれた瞬間でした。
ヒーローズ・ナイト @Mana Earthly Paradise
バリキャンプのハイライトの一つは、Mana Earthly Paradiseを会場に、外部の方も参加できる「ヒーローズ・ナイト」と題するパブリック・イベントです。
会場には、投資家、グリーンスクール関係者、NGOリーダーなど、バリ島でEarth Companyとヒーローたちを応援してくださっている皆さま、合計約50名が参加し、大盛況となりました!!
詳しいイベントの様子は、こちらのイベントレポからご覧頂けます!
<DAY 3>
メンタリングによる個別支援
3日目は丸一日をかけて、各ヒーローの事業インパクト拡大に必要な知見やリソースを提供する、メンタリング・セッションを実施しました。事前に行ったニーズ調査をもとに、各ヒーローに適したメンターをアサイン。
例えば、以下のような個別支援を提供しました。
- タムジッド(バングラデシュ):マーケティング施策の検討・自団体の紹介資料の作成
- リチャ、ウトカルシュ(共にインド):ファンドレイジング施策の検討・アジア地域の助成金・寄付金の紹介
- マッチャ、ルクシャナ(タイ/ネパール):ミッション・ビジョン・プログラムの整理、ソーシャルビジネス立ち上げの財務モデル作成
メンターは、ソーシャルセクターのマーケティング、インパクト投資、ファンドレイジングなど、それぞれの分野のエキスパートが担当。
なお、この個別メンタリングによる支援は、バリキャンプ後も年末まで適宜継続していく予定です。
<DAY 4>
代表の濱川明日香によるリジェネラティブについてのセッション
4日目の朝は、Earth Company代表・濱川明日香による講演からスタートしました。
テーマは「リジェネレーション」。現代社会のあり方に潜む課題や、個人・組織・社会のウェルビーイングのつながりについて語りかける中で、ヒーローたちはそれぞれ自身の「あり方」をリジェネレーションという視点から見直していきました。
個人や組織として、どうリジェネラティブにシフトしていくのか?
この問いに対しては、例えば
「リーダーという立場上、周囲の声に応えることに一生懸命になりすぎて、つい自分自身を労わることを忘れてしまう。リジェネラティブな未来を目指すためには、まずは自分自身との向き合い方を見つめ直す必要があると気づかされた。」
そんな率直な思いが語られ、ヒーロー自身がリジェネラティブな「あり方」について、それぞれの考えを深めました。
リジェネラティブ農業「Astungkara Way」体験
午後は、ヒーローの一人、ティムが代表を務めるリジェネラティブな農業と観光のあり方を実践する「Astungkara Way」を訪問し、田植え体験とバリの現状についてのセッションを行いました!
土の感触、水の冷たさ、そよぐ風、五感を駆使して「リジェネラティブ」を感じました。
ヒーローたちは夢中で泥に足を踏み入れ、生き生きと田植えに取り組みました。その様子を見たティムが、「これが自然の力だよ(笑)」と満足そうに微笑むような場面も。
作業の後には、収穫された食材を使った地元のお母さんたちの絶品手料理をいただき、土地の恵みを改めて味わいました。
訪問の終盤では、バリ島における開発の進行による耕作地の減少、若者の農業離れ、化学肥料による土地劣化といった、地域が抱える課題についても学びました。
開発と自然共生のはざまで生まれるリアルな問いに触れ、リジェネラティブの核心に迫る時間となりました。
<DAY 5>
ロビン・リムとの対話 & 振り返り @ブミセハット助産院
IMPACT HERO 2016 ロビン・リムが運営するブミセハット助産院を訪問。
愛を原動力に、数え切れないほど多くの人の「ヒーロー」であり続けてきたロビンの生き方は、まさにリジェネラティブ・リーダーとして、多くの気づきを与えてくれます。これまでのロビンの活動にかける思いや、Earth Companyとのエピソードを踏まえ、ヒーローたちはそれぞれのリーダーとしての「あり方」を改めて見つめ直しました。
ロビンとのセッション後、全プログラムを通じた振り返りの時間を設け、ヒーローたちは、それぞれの胸の内に秘めた熱い思いを語りました。
プログラム中に育んだ、ヒーロー同士のつながりの心強さ。忙しい日々に忙殺されて、なかなか自分自身と向き合う時間が取れてこなかったこと。
等身大の彼らの葛藤も、未来への希望も、5日間の濃密な時間を共に過ごした仲間たちへの言葉には、心からの感謝の気持ちと、今後の歩みを鼓舞する力強いメッセージが込められていました。
別れへの名残惜しさを残しつつ、笑顔と涙に溢れたバリキャンプは幕を閉じました。
3. ヒーローたちの声
バリキャンプ について語ってくれたヒーローたちの言葉を一部ご紹介します!

「大きなグローバル課題について議論する場を想像していましたが、心に残ったのは、輪になって座り、個人の物語を静かに語り合った時間でした。プログラムを通じて、変化を生み出すのは、ツールや戦略だけではなく、信頼や傾聴、人と人とのつながりなのだということを教わりました。」
(タムジッド・ラフマン/バングラデッシュ)

「バックグラウンドの異なるチェンジメーカーたちに囲まれながらも、抱える葛藤や希望、迷いが驚くほど共通していることに気づき、孤独ではないと感じることができました。自分の「なぜ」に立ち返り、人間らしさを大切にすること。それこそがリーダーシップの本質だと、改めて思い出す時間となりました。バリキャンプは、組織としての節目であるだけではなく、私個人にとって、『自身の原点を取り戻す』時間でした。」
(ニダ・ユサフ・シェイク/パキスタン)

「私が得た最も大きな気づきは、リジェネレーションは『つながり』から始まるということでした。人とのつながりだけでなく、自然、土地、先人たち、そして自分自身とのつながりを取り戻すこと。自分が誰であるか。何のために、誰のためにこの道を歩んでいるのか。
そして、どうすれば自らをすり減らすのではなく、リジェネラティブに歩みを進められるのか。変革は正義と愛に根ざしていなければならない―そんな原点を、心の深いところで改めて思い出す時間になりました。」
(マッチャ・ポーニン/タイ)
4. おわりに
今回のバリキャンプは、ヒーローたちにとって、自分たちの「あり方」を再認識し、未来への歩みを力強く進めるための、大きなきっかけになったと実感しています。
Earth Companyは、一人ひとりのニーズに寄り添いながら、深いつながりを育み、実践的なスキルと個人の「あり方」の両方を尊重するプログラムづくりを大切にしています。こうした支援を通じて、ヒーローたちがより効果的にリジェネラティブな未来を目指せるよう後押ししています。
キャンプを終えた今、ヒーローたちはそれぞれのフィールドへ学びを持ち帰り、今日も真摯に活動を続けています。このプログラムを通して生まれたたくさんの可能性は、ヒーローたちを通じてすでに新たな未来を描き始めています。
そして、L2Rプログラムの前半終了時には、この8名の中から「Impact Hero 2025」が選出されます。アナウンスまでどうぞ楽しみにお待ちください!
引き続き、リジェネラティブな未来づくりに挑むヒーローたちを、温かく見守り、応援していただけますと幸いです。