1. 「国連は動かない。それでも僕らは声を上げ続ける」抗議活動の中心にいる若者たちの決意

1枚の段ボールを掲げたミャンマーの青年の写真が世界中で拡散されています。そこには、
「70日間でたった700人。ゆっくりどうぞ国連さん。僕たちはまだ何万人もいます(Just “700” people killed in “70” days. Take your time UN. We still got “millions” left)」
と書かれています。
国軍の暴挙に対して具体的な対応ができない国連への怒りや失望の想いが滲むメッセージ。同時に、それでも残された我々は、望む未来を勝ち取るまで声を上げ続けるという決意も感じます。
この写真を見て、ジャーナリストや人権活動家からは、
「今日の朝、この画像を見て、頭から離れなくなりました。ミャンマーでは多くの若い命が失われています。702人の犠牲者の多くは、10代の若い世代です。それでも、彼らは今も路上やソーシャルメディアで軍に抗議し、国際的な活動の強化を求めています」
現在、私の国ミャンマーでは、70日間で子供を含む700人以上の人々が軍部によって残酷に殺害されています!私は国連に早急に行動を起こすことを要請します」
というリツイートが上がっています。
今回の抗議活動の中心となっているのが、「Z世代」と呼ばれるデジタル・ネイティブな若者たち。犠牲者の多くも若者で、ユニセフは3月末時点で少なくとも35人の子どもが命を奪われ、約1,000人の子どもや若者が軍や警察によって拘束されたと報告しています。
軍による支配を次の世代に残さないために、いま命がけで声を上げている若者たちの想いを、私たちは決して看過できません。
2. 増え続ける犠牲者数と国内避難民となる少数民族

4月11日に、現地の人権団体・AAPP(政治犯支援協会)はクーデター以降700人の市民が死亡したと発表しました。一方で軍事政権の公式発表は248人で、その数には大きな差があります。4月9日古都バゴーで確認された1日の死者数は80人を越え、実際の被害者はそれよりも大きいとされています。
また、ミャンマーの国境地帯では、軍と敵対し、ミャンマー市民を保護する立場を明確にした少数民族のカレン族の武装組織への空爆も起きています。空爆によって市民にも死者が出ており、被害から逃れるために4000人を超える人々が隣国タイへの入国を試みました。しかし、認められたのは負傷者15人のみで、残る人々は追い返され、もとの居住地に戻ることもできず、山奥・ジャングルに滞在し、空爆の恐怖に怯えています。
国連の安全保障理事会は、4月9日にミャンマー情勢についてオンラインの公開会合を実施。ミャンマーのチョーモートゥン国連大使は、国軍への武器禁輸措置や資産の凍結など具体的な行動を求めました。発言の締めくくりとして「プリーズ、プリーズ、プリーズ」と3度繰り返し、国際社会に助けを訴えました。
それに対して、「ミャンマーの主権を尊重すべき」と主張する中国やロシアとは意見の相違が続き、安全保障理事会としての対応に大きな変化は見られませんでした。
【参考】
・「ミャンマー抗議デモ、死者700人超に」(AFP通信)
・「国境で行き場失うミャンマー少数民族 国軍空爆、入国拒むタイ…現地で起きていること」
・「3度『プリーズ』 ミャンマー国連大使ら、国軍への制裁訴え」
3. 相次ぐ指名手配と死刑宣告。有名人も逮捕の対象に

クーデター後、司法・立法・行政の三権を掌握している軍。抗議活動を扇動したとして、連日20名の若者が国営放送のテレビで指名手配されています。4月8日には、人気モデルのパイン・タコンさんも指名手配の後逮捕され、市民からは強い批判の声が上がっています。
4月9日には、国軍関係者を負傷させたとして、19人の若者に死刑が宣告されました。そのうち17人の身柄は拘束されておらず、本人の立ち合いがないままの判決でした。また13日には、新たに7人に死刑宣告が下りたことで、軍の姿勢がより強硬になっていることが分かります。
【参考】
・「ミャンマー、19人に死刑判決 戒厳令下で国軍関係者殺傷」
編集後記(あとがき)
軍への抗議活動を扇動したという理由で指名手配される若者たち。ついには、死刑判決まで下るようになってしまいました。それでも、連日抗議活動をする若者の写真は、SNS上で絶えることはありません。自分たちが望む未来を手に入れるまで、決して声を上げることを辞めないという決意。ミャンマーの次世代を担うのは彼らであり、改めて今ここで彼らを支援する必要があると実感します。
IMPACT HERO支援担当・島田 颯