マーシャル諸島共和国は、米国との自由連合盟約国として独立したミクロネシアの島国です。第一次世界大戦から第二次世界大戦終了まで日本の統治下だったマーシャル諸島では、「チャンポ(散歩)」など、今でも日本語の単語が使われ、親日家も多い国です。29のサンゴ環礁と1156の島から成り立つ赤道直下のこの国の平均海抜は2m。気候変動を原因とする海面上昇で頻発する高潮により、海沿いの墓地も波に侵され、先祖代々の墓地が水浸しになり崩壊することもあります。一方で、干ばつもたびたび発生し、2013年に大干ばつによる国家非常事態宣言が発令され、その3年後の2016年に再び発生した大干ばつでは、6千人以上の島民が1日1ℓ以下の水で過ごさなければならないほどの大惨事となり、食料の収穫量が激減し病気も蔓延しました。
先進国に支配され続け、冷戦時代には、群島の一つであるビキニ島で米国の核実験が67回にもおよび行われ、生命を脅かされ強制移住を余儀なくされたマーシャル諸島は今、私たち先進国の経済活動に起因する気候変動による海面上昇の影響で、国土が水没の危機に晒されています。