とますか日記 vol.8:私たちがバリ島にエコホテルを建てる理由

突然ですが、アース・カンパニーは今ホテルを建てています😎 アースカンパニーの活動を支える、ソーシャルビジネスです。

ホテルと言っても、バリ島によくある高級リゾートではなく、アースカンパニーの価値観と世界観を体現した、エコでソーシャルな未来型の複合施設です。今年6月に着工し、来年5月のオープンに向けて、建設が順調に進んでいます!

 

「地球の楽園」という名のエコホテル

まずは、施設の名称。

私たちはここを、仮にEarthly Paradiseと呼んできました。「地球の楽園」という意味です。まさにここは、「地球がこうあったらいいのに」を体現化するところで、それは地球にとって、パラダイスだからです。

アース・カンパニーが運営するパラダイス、という意味もあります。これがそのまま正式名称になるのか、それとも新たな名前が降りてくるのかは、これからのお楽しみ。私たちにもわかりません。

 

Earthly Paradise(仮)の根底には、バリ文化の中核にある思想「Tri Hita Karana(トリヒタカラナ)」の考え方があります。これは、「幸福・繁栄の3つの条件」という意味ですが、

自然との調和
人々との調和
神々との調和

この3つのハーモニーのことを指しています。この3つを大事にしたら、そうそう道を外すことはないはずで、世を後世に繋いでいくためにも、当たり前にエコで包括的で敬う心を忘れない空間を目指しています。

 

 

WHERE:「地球の楽園」は田んぼのなかに

Earthly Paradise(仮)の場所は、バリ島ウブドの西側、繁華街から車やバイクで10分ほどのアクセスの良いエリアです。私たちの自宅からバイクで3分の距離。車が入れない広大な田んぼエリアの入り口にあります。

実はウブド繁華街よりも大きいこの広大な田んぼエリアが大好きで、私たちはここを「田んパラ(田んぼパラダイスの略)」と呼んでいました。この田んパラで3年間土地を探した結果、やっと巡り合えたのがここの土地です。

 

 

WHAT:命ある豊かな未来を体感できる6施設!

この元々田んぼだった約4,000平米の土地に、現在6つの施設を建設中です。

1.宿泊施設

収容人数約33人、合計8棟のヴィラを建設中ですが、その建築法にちょっとこだわりがあります。最近、世界的に注目を浴びている「アースバッグ工法」を使っています。

アースバッグ工法とは、元々アメリカのカリフォルニア州で1980年代に開発された建築方法で、長いチューブ上の土囊袋に混合土を詰めて叩き、積み上げていくシンプルな技術です。簡易な材料で、環境に優しく、安価で簡単に作れ、しかも耐久性があり、熱を通すのに12時間かかるため昼涼しく夜暖かく、空調いらずなのでエコ。その優位性を鑑みて、国連が難民キャンプに導入したり、NASAが宇宙開発に検討しているほど。

と言っても、我々は難民キャンプを建てたいわけではないので、壁はアースバックで作る一方、藁葺きの屋根と、バリ伝統とボヘミアンなフィーリングを組み合わせた内装で、独特な癒しの空間です。

これは国連(UNHCR)がイランの難民キャンプに建てたアースバッグ ハウス。1人のインストラクターの下、21日間で15棟を、難民本人たちが建設。直径4.5m2のドーム一棟にかかったコストは$621でした。

 

2. 命を育むオーガニックレストラン

オーガニックなだけでなく、玄米や全粒粉など胚芽を取り除いていないものや、永遠に実りをもたらす命ある在来種のタネのみ使い自然農法で育てた野菜を、化学調味料やレンジを一切使わず調理する「命のある」料理食べるだけで細胞が活性化され、感覚が研ぎ澄まされていく料理を提供する、こだわり抜いたレストランです。

これについては、次号で詳しくご紹介させて頂く予定です 🙂

 

3.エコでソーシャルな量り売りのお店

ようやく日本でも海洋ゴミやプラスチックゴミの問題が取り上げられるようになりましたが、国際的には確実にプラスチック廃止の流れが強まっています。

私たちも、1)オーガニック、2)エコ、3)ソーシャル、4)ローカル、5)プラスティックフリーをいつも心がけて買い物をしています。ウブドには一つ一つをテーマとしたお店はたくさんありますが、全てを実現し、必要なものを全て揃えられるお店はなく、困っていました。

Earthly Paradise(仮)のお店では、人と自然と社会に良い商品のみ取り扱い、食料品や日用品などを、プラスティック包装一切なしで店頭に並べます。地産地消でCO2の排出を抑えつつ、地元の経済活性化にも貢献します。

 

4.子供用プレイグランド

私たちが描くのは、多様性に富んだ、包括的な社会です。バリ人は外国人を寛容に受け入れてくれるので、外国人にとっては非常に住みやすい場所です。私たちは多くの途上国に暮らしてきましたが、ここまで外国人に寛容な民族は稀です。

しかしバリ人と外国人は、あまりに経済活動の場が違うので、同じ場で交わることはほぼありません。その隔たりを極力狭めるべく、近所の子供たちが気軽に来れる遊び場を併設します。親がお茶したり仕事するのに子供たちを排除しなくて良いように、という目的もあります。

 

5.オーガニック畑

 

施設の後方には、パーマカルチャーをベースとしたオーガニック畑を作ります。

パーマカルチャーとは、パーマネント(永久な)+農業(アグリカルチャー)を抱き合わせた言葉で、循環型のエコシステム。ここで採れた野菜や果物、ハーブを敷地内のレストランで使い、食べ残されたものはコンポストとして土に還り、排泄物は肥料として土を豊かにしてまた命を育む。命の循環の原点です。

レストランの仕入れを100%自給自足することは簡単ではないですが、自給率をなるべく高めていきたいと考えています。

 

HOW:“楽園”を実現するために

 

自給率に関しては、食だけではなく、エネルギーと水にもこだわりがあります。

 

1.太陽光発電

ヴィラそれぞれに太陽光パネルを設置して、宿泊施設内の照明は100%自給携帯やパソコンの充電も太陽光で行っていただきます。

 

2.雨水タンク

バリ島の深刻な水問題についてはもう少し詳しく以下に説明しますが、観光客がバリ島が供給できる水の多くを使ってしまうため、バリは常に水不足に悩まされています。

そこでEarthly Paradise(仮)では、雨水を集めて地下に貯めて、濾過することで、私たちが使う水は全て、自分たちで賄います

 

3.廃水・汚水処理

廃水・汚水も気をつけて、汚染を最小限に抑えたいと考えています。

年間1000万人の観光客が訪れるバリでは、大量の汚水がそのまま流されるため、地下水を汚染し、地元の人が飲む水、生活に使う川の水がすでに、暮らしに適さない状態です。

廃水の中には、トイレから出る水、グレイウォーターと言われるシャワーや洗面台で使った水、油分を含むキッチンから出る水と色々ありますが、私たちは、それらをそれぞれ浄化槽を通して適切に処理し、「グレイウォーターで育ちやすい植物」の水源としたり、農園の肥料としたり、循環させて使います

 

4.エコテクノロジーの実験場

近年世界では、多くの革新的な技術が開発されています。

24時間でたい肥を作るマシーン、足で漕いで回す無電気洗濯機、電気を使わない冷蔵庫、プラゴミを燃料に戻す機械などなど。どこまで実用性、効果があるのかは使ってみないと分からないので、Earthly Paradiseではそのようなエコテクノロジーを積極的に試験導入して、有用性を検証していきます。

中には、例えば日本でも簡単に導入できるエコ商品もあります。「これだったらうちでもできそう!」と、訪れる方々に感じて頂き、できるエコから初めて頂くのも狙いの一つです。

 

 

WHY:バリ島にEarthly Paradiseが必要だった理由

最後に、そもそもどうしてこんなにこだわり抜いた施設を作るのかですが、それには3つの理由がありました。

 

  1. アース・カンパニーが掲げるビジョン「後世に繋ぐ未来」を、口や文字で表現するだけではなく、実現したかったから。
  2. アース・カンパニーが行うスタディツアーや研修事業の参加者が一般的なリゾートに泊まることがバリの社会課題に寄与してしまうことに、ずっとジレンマを感じてきたから。
  3. IMPACT HEROの支援はすればするほどお金が減っていく事業。より多くのチェンジメーカーを支援するために、この事業を支えるソーシャルビジネスが必要だから。

 

この3つを実現するのがEarthly Paradise(仮)です。

 

バリ島では、従来のホテル、強いては観光業そのものが、バリ島の様々な社会問題の原因となっています。

 

1.水不足問題


バリ島ホテル協会のデータによると、バリ島では、地元の人が1日の生活に一人183リットルの水を使うのに対し、高級リゾートに泊まる観光客は20倍以上の4000リットルの水を使っています。一泊7000円程度のホテルでも、一人1000リットルの水を消費します(参考データ)。頻繁に取り替えられるプールの水や、スパ、シャワー、調理など、観光客が要するこれらの水は、バリ島で使われる水の65%を占めています。

今では、バリ島の帯水層の約6割の水が無くなり、問題は悪化する一方。しかしバリ島の収入源の8割が観光(参考データ)。バランスの良い形を模索しないといけません。

 

2.ゴミ問題

水の消費量と同様、深刻なゴミ問題も要因は観光客です。

一日一人当たりのゴミ排出量は、一般のバリ人は0.7kgに対して、観光客はその3.5倍の2.5kgだそうです。行政のゴミ処理施設がないバリ島では、その膨大なゴミの約半分がまさにゴミ山として、過去40年、ためられ続けています。

そのゴミ山の存在は、政府がひた隠しにしており全貌を把握することはできませんが、その面積4ヘクタールとも6ヘクタールとも言われており、その周辺のスラムに、強烈な異臭が漂う中、大量のハエにまみれて、子供たちや貧困な人々が暮らしています。

 

私たちは、この美しく神秘的なバリ島に住ませてもらい、たくさんのバリ人に支えられ、心癒される環境で、自然豊かに、幸せな暮らしをさせてもらっています。

アース・カンパニーもそんなバリを多くのプログラム参加者に体験してもらうことで、たくさんの恩恵を受けています。だからこそ、バリの社会問題に加担するのではなく、課題解決に貢献できるあり方を追求していきます。

 

Earthly Paradise(仮)で待っていますので、みなさんぜひ遊びに来てくださいね!

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