【ミャンマー活動報告 #8】クーデターから100日。見えてきた現状と未来を語る

たくさんのご支援をいただいたクラウドファンディングが終了してから早1か月。人権活動家のウェイウェイは、国際社会にミャンマー問題を訴えるべく、アドボカシー活動を引き続き行っています。今回はキャンペーン後の定期活動報告の第1回目となります。

寄せられたご寄付に関しては、4月14日にまず200万円分を送金しました。これにより、ウェイウェイが運営するWomens Peace Networkのミャンマー現地のスタッフの人件費等を補填することができました。現地では継続して軍による人権侵害の調査・報告活動を行うと同時に、特に女性やLGBTIが受けた被害状況についてまとめたオンライン・データベースを開発。NGOやメディアなどが現場の最新情報を得られるプラットフォームを提供しています。

それでは、5月のウェイウェイの活動報告をご覧ください。

1.  バイデン大統領主導の民主主義サミットに登壇

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5月中旬、ウェイウェイは、2つのハイレベルな会議に登壇しました。

一つは、ジョー・バイデン大統領が主導して開催されたThe Copenhagen Democracy Summit 2021。このサミットは、台湾の蔡英文大統領をはじめとする各国のリーダーが登壇した、民主主義がテーマのハイレベルな国際会議です。ウェイウェイは、香港やベラルーシの活動家と並んで「自由と民主主義のための闘い~最前線からの報告~」というパネルに登壇。民主主義の基盤が揺らぐ国における、民主主義の展望を語りました。ミャンマーの人びとがクーデター以前から長年民主主義の実現のために闘ってきたことにも触れ、軍の独裁を終わらせるために各国の協力を求めました。

もう一つは、アメリカ政府機関である国際宗教自由委員会による「ジェノサイドを終わらせるために~米国政府によるジェノサイドの決定と次のステップ~」というテーマの公聴会。ここでウェイウェイは、2019年に国際司法裁判所でロヒンギャへの迫害に関する裁判が行われた件にも触れ、「あとどれだけの証拠があれば、ロヒンギャへのジェノサイドがアメリカを含む国際社会で認定されるのか」と、語気を強めました。ジェノサイド認定には数年の時間がかかることが予測され、一刻も早い認定に向けたアメリカ政府の行動を求めました。

世界的にミャンマー情勢への関心が高まる中で、現地の実状を国際社会に発信し、政策決定に働きかけることができるウェイウェイの存在は、益々重要性を持っています。

 

参考

USCIRF Hearing: Ending Genocide – U.S. Government Genocide Determinations and Next Steps
The Copenhagen Democracy Summit 2021

2. 女性とLGBTIへの被害を可視化するデータベースを開発

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5月中旬ウェイウェイが代表を務めるWomen’s Peace Networkは、軍の被害者情報をまとめたデータベースを公開しました。特に女性やLGBTIの人々への被害がわかるように、属性別にデータを集計しています。クーデターがミャンマーで抑圧されてきた人々に与えた影響について、より詳細な分析を可能にするものです。

抗議活動に参加している6割が女性。また、軍により勾留されている人の4割を女性が占めていると言われています。被害状況をリアルタイムでアップデートするこのデータベースは、クーデターの影響をジェンダーやマイノリティーの視点から理解するための重要なツールとして期待されます。

 

参考

Coup Tracker: Women & LGBTQ+ of Burma/Myanmar by Women’s Peace Network

3. 「少数民族の声を聞いてほしい」毎日新聞英語版にウェイウェイの提言が掲載

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毎日新聞英語版で、軍政下のミャンマーにおけるロヒンギャ問題への国際社会の対応について、ウェイウェイの提言が取り上げられました。

記事では、ロヒンギャの事例をあげ、国際社会がミャンマー軍に対して、民主的な改革、拘束者の釈放、暴力の抑制を求めるだけでは不十分であり、少数民族に焦点をあて、ミャンマーの根本的な問題である民族と多様性を支援するための対話と、長期的で建設的な措置を支援することが重要だと述べられています。

国連安保理の評議会は、現在のミャンマーの状況が少数民族の課題を悪化させる可能性があること、そしてロヒンギャ難民の安全な帰還に課題をもたらすとの懸念を表明していますが、クーデター以降、国際社会はミャンマー情勢に対して統一した立場をとれていません。中国とロシアの反対で国連は制裁を課すことができず、ASEANも内政不干渉を原則にしているため、具体的な行動をとるに至っていません。

ウェイウェイは、国際社会はロヒンギャや他の迫害を受けている民族にとって、現在のミャンマーの状況がどれほど悲惨なものであるかを認識していないと訴えます。

「私たちが民主化を推進するとき、世界は民間から選出されたリーダーの意見に耳を傾けるだけでなく、ロヒンギャを含む少数民族コミュニティの声も聞くべきです」

とウェイウェイは語っています。

 

参考
Opinion: Has the international community abandoned the Rohingya in Myanmar?(The Mainichi)

編集後記(あとがき)

 

クーデターから100日が経過した今でも、軍による暴力は続いています。事態が長期化する中でも、デモを続け、軍への抵抗を続けるミャンマー国民の強さに胸が打たれます。彼らの想いを伝える伝道師として発信を続けるウェイウェイ。国連やASEANによるミャンマー国軍へのより強い制裁が待たれます。

IMPACT HERO支援担当・島田 颯