【ミャンマー支援レポート#2】犠牲となった33歳女性、残された3人の子どもたち

IMPACT HERO支援担当の島田です。現在挑戦中の「真の民主化を目指すミャンマーに支援を!緊急クラウドファンディング」関連して、今週もウェイウェイの活動やミャンマーの現状について報告していきます。

 

先週のレポートはこちら↓↓↓
【ミャンマー支援レポート#1】ウェイウェイが現地159団体と連携し国連に提出

1. 「死者数」からは見えない人生。
亡くなった33歳女性、残された3人のこどもたち

3人の子どもたちの母親で、妻、そして一人の女性であるマ・マラ・ウィンさん(33歳)が軍の暴力によって悲しい死を迎えたと、ウェイウェイが代表を務めるWomen’s Peace Networkから報告がありました。

3月19日の夜、ミャンマー軍と治安維持部隊は、ウィンさんと7人の市民を取り締まり、ウィンさんの太ももを銃撃。負傷したウィンさんたちはそのまま逮捕されました。ある証言によると、彼女は軍に「お願いだからみんなを助けてください」と膝をついてお願いしていたところを打ちぬかれ、拘束されたそうです。そして翌朝家族に連絡があり、ウィンさんは傷だらけの遺体となって家族の元へ引き取られました。

連日の報道で伝えられる死者数。「死亡者250人」という数字の裏には、亡くなった方一人一の生きていた人生があります。3児の母親、武器を持たず外出していただけの14歳の少年、人々を助けに行った医療隊員。

ミャンマーのSNSでは、 #HowManyDeadBodyNeedForUNtoTakeAction (国連が行動を起すのにあと何人の死体が必要なのか)というハッシュタグがたくさん投稿されています。ウェイウェイは、軍の行為は国際法で定められている「人道に反する罪」であるとして、国連に現地への調査団の派遣を求めています。

2. 日本も関係がある3月27日国軍記念日

引用元:https://www.officeholidays.com/holidays/myanmar/myanmar-armed-forces-day

ミャンマーの建国の歴史をたどると、日本との関係がわかります。明後日3月27日はミャンマーの「国軍記念日」。1945年のこの日、ビルマ軍が日本の占領に対して一斉蜂起を始めた記念日です。国軍にとってその威勢を誇示する重要な日で、記念式典も実施される予定です。

各国が記念式典への不参加を表明する中で、当初日本の在ミャンマー大使館の姿勢は曖昧で批判が集まりました。しかし、3月19日の国会答弁で茂木敏充外相は「日本人関係者を一切派遣するつもりはありません」と明確に表明。3月27日の国軍の動向を現在世界が注視しています。

 

※参考
・Armed Forces Day in Myanmar : Anyday Guide
ミャンマー国軍記念式典に茂木外相「日本人関係者を一切派遣しない」(MYANMAR JAPON ONLINE)

3. IMPACT HEROのように壮絶な人生を歩んできた国連特使 ササ医師

引用元:https://www.facebook.com/DrSasa22222/photos/270931217831076

ササ医師をご存知ですか?

クーデターによって多くの民主派の議員が拘束される中、タクシー運転手に扮して軍から免れて、現在は連邦議会代表者委員会(CRPH:クーデター後に残った民主派議員で構成された軍と対立する臨時政府)から国連特使として任命された方です。

まさにIMPACT HEROのような人生を歩んできた彼ですが(彼のライフストーリーはぜひこちらからご覧ください)、先日メディアインタビューでロヒンギャについてこのような発言をしました。

「2017年に起きたロヒンギャへの残虐な行為。イスラム教徒であろうがキリスト教であろうが宗教は関係なく、彼らは私たちと同じ人間でした。私たちの兄弟である何千人ものロヒンギャが犠牲になりました。その実行部隊と同じ部隊が、また暴力行為を働いています。軍によって繰り返される人道に反する暴力行為を、いま止めなくてはなりません。これらは21世紀に生きる私たちの使命・責任でもあります」

ロヒンギャへの大量殺りくを否定したスーチー政権は世界中から批判を集めましたが、代わって国連特使となったササ医師はこの問題に触れ、繰り返される軍による暴力行為を何としても止めなけばいけないと強く主張しました。このようなササ医師の存在に、希望を感じるロヒンギャや少数民族の人々は数多く存在します。

 

※参考
・ミャンマーの人権活動家・Aung Kyaw Moes氏のFacebookより

編集後記(あとがき)

 

日々増えていく死者数に、ある種「慣れ」なような感覚を抱いていることは否定できません。しかし、ウェイウェイから現地の報告を受けるたびに、新聞やメディアで報道される数字の裏には、一人一人の人生があったことを思い起こされます。

1人に対してでも100人に対してでも許されるべきでは絶対にない暴力行為に対して、どう行動していくのか。ウェイウェイやササ氏のような国際社会で活躍する人たちの存在をひとりでも多くの日本人に知ってもらうことも、僕らが重要視している活動の一つです。

IMPACT HERO支援担当・島田 颯