3/18/2021 【ミャンマー支援レポート#1】ウェイウェイが現地159団体と連携し国連に提出
3月8日から始まった「真の民主化を目指すミャンマーに支援を!緊急クラウドファンディング」。これからクラウドファンディング終了の4月末まで、毎週ミャンマーの現状やウェイウェイの活動についてアップデートしていきます。
1. 2通の公開要望書を国連安全保障理事会に提出
ウェイウェイが代表を務めるWomen’s Peace Networkは、クーデター発生後、現地のNGOと連携し、2通の公開要望書を作成し、国連の安全保障理事会へ提出しました。
内容は、ミャンマーで起きている国際人権法に違反するすべての行為を止めるために迅速な対応を求めるものです。この要望書は、ビルマ族・仏教徒が9割を占めるミャンマーで民族的・宗教的な垣根を超えて159の団体が同意したという画期的なものでした。
Women’s Peace Networkを創設後、ウェイウェイは彼女主導で毎年少数民族のリーダーたちと会合を行い、ネットワークを広げていました。今回のクーデターで、市民は多数派・少数派の民族・宗教に関係なく「軍政反対」という立場で一致しています。ウェイウェイは、この共同要望書のとりまとめを担いました。
国連安全保障理事会は3月10日に、ミャンマー情勢を受けて、「抗議デモの参加者への暴力を強く非難する」とする議長声明を発表。しかし、クーデター自体を非難したり、制裁決議の可能性に触れたりする部分は、当初の声明案から削られました。(朝日新聞)
国連安全保障理事会は全会一致の原則で動いてます。安保理の常任理事国でありミャンマーと経済的な結びつきが強い中国・ロシアが拒否権もっているため、総意として経済制裁を実施するには至っていないのが実情です。
2. 国際女性デーにBBCニュースに出演
ウェイウェイは、「国際女性デー」の3月8日BBCニュースに出演し、ミャンマーにおける女性の人権とクーデター下での女性の役割について話しました。
これまでのミャンマーの女性に対する人権:
2014年のスーチー政権で「女性の異教徒との結婚を禁止する」という差別的な婚姻法が制定。ミャンマーでは民主化を進める中でも、このように女性の人権が認められない状況があったことを訴えました。
抗議活動での女性の活躍:
抗議活動の最前線では、Z世代と呼ばれる若者たちが声をあげており、女性の姿も目立ちます。女性が最前線で声を上げている姿は、これまでの過去の抗議活動では見られなかったことだといいます。また、ロンジー(ミャンマーの女性の伝統衣装)の下をくぐると不吉なことが起こると信じられているため、女性が市街地にロンジーを吊り下げ、軍の足止めをしている様子も見られました。
1 / 3 One of the newest resistance strategies used by anti-coup protesters is to delay the advance of security forces by hanging htameins- women's sarongs- across the roads. The photos below illustrate how protesters in Yangon’s Thaketa Township employ this tactic. pic.twitter.com/JcrtjjdFve
— Myanmar Now (@Myanmar_Now_Eng) March 6, 2021
3. “ミャンマーの危機”人権活動家としての使命を語る
2018年にウェイウェイは、ヒラリー・クリントンが選ぶ「GIWPS’ Hillary Rodham Clinton Award for Women in Peace and Security」を受賞。現在のミャンマーの危機的な状況を踏まえて、GIWPSのディレクターを務めるメレイン・バーバーさんとの対談を行いました。
※GIWPS: Georgetown Institute for Women, Peace and Security
対談の中でウェイウェイが強調していた点が、これまでのスーチー政権下の民主化は本当の意味での民主化ではなかったということです。昨年の総選挙でも、ロヒンギャなどの少数民族を含むミャンマーに暮らす全ての人びとの参政権の実現は叶いませんでした。
“ミャンマーの民主化運動の中で国際社会はアウンサンスーチーやNLD(国民民主党)の声を聞いてきたが、少数民族の声は無視され続けてきた。私たちは、多数派に属していようが少数派に属していようが、ビルマの人々です。多数派のリーダーと同じように、自分たちの将来について関与し、決定する権利を持っています。”
ウェイウェイはいまこそ民族・宗教の垣根を超えて団結し、ミャンマーの民主主義制度をより変革していく必要があると述べています。
また、「ミャンマーに対して希望を持ちますか?」という質問に対しては以下のようにコメントしています。
” 刑務所から解放されたあと、現場で活動してきて(その実情からすると)正直希望を持つことは難しい。でも、私たちには希望を持つに値すると思います。そしてその希望は、世界が私たちと一緒にいて、私たちの声に耳を傾けてくれたときに初めて生きてくるのです。
私たちは、軍がいかに人々を操り、地域社会を分断し、独裁政権を長引かせるかを知っています。非常事態は1時間や1年では終わらないのです。このような経験から、私はあまり期待をしていません。しかし、ミャンマーの若者は希望を持つべきであり、私たちはこの地球上で公平な未来、より自由な未来を手に入れるべきだと感じています。”
自ら国際社会に発信するとともに、若い世代の活動を全力で支援しているウェイウェイ。これからのミャンマーをつくっていくのは、いままさに声をあげている若者世代であり、彼らを支援するためにと日々奮闘しています。
※参考記事:Myanmar in Crisis – A Conversation with Human Rights Defender Wai Wai Nu
編集後記(あとがき)
今回のクラウドファンディングを担当の島田です。
ウェイウェイへの支援が始まった2019年1月、彼女の生い立ちや活動を知って、ミャンマーの未来の担うのは彼女だと、強く感じました。ウェイウェイは、自身もロヒンギャであり、ロヒンギャへのジェノサイドの問題を世界へ訴え続けてきて、昨年の国際裁判にも貢献しました。
彼女が目指しているのは、ロヒンギャ問題だけではなく、すべての民族・性別・宗教によって迫害されている人々が平和に暮らしていける社会。少数民族やビルマ族のリーダーたちからも信頼を得ているウェイウェイが、今そのつながりを最大限に発揮して、アメリカから声をあげています。本当に必要とされている活動を終わらせないために。ぜひウェイウェイの活動の応援よろしくお願いいたします。