ご報告:ロヒンギャ難民キャンプ学校支援から1年が経ちました

みなさん、こんにちは。Earth Company ロヒンギャ難民緊急支援プロジェクト担当の島田颯です。

2018年6月20日「世界難民の日」に実施した、ロヒンギャ難民支援プロジェクト「24時間限定・400人のロヒンギャの子供たちが通う学校の半年分の運営費を日本から届けたい!」から約1年2か月が立ちました。52名のみなさまから総額52万7000円のご支援を賜り、運営を続けることができた学校から、現地の様子が届きましたので、ご報告いたします!

1. 【現状報告】
支援から1年、ロヒンギャ難民キャンプの学校は今…

昨年の6月にみなさまから賜ったご支援は、BRAJ(在日ビルマ・ロヒンギャ協会)が設立した学校の2018年7~12月の6ヶ月間の運営費として大切に使わせていただき、400人の子どもたちに「英語」「算数」「ミャンマー語」の授業を届けることができました。

2019年1月以降も、BRAJがロヒンギャから日本に帰化した会長の長谷川健一(Haroon Rashid)さんをはじめとする日本に住むロヒンギャの方々は生活を切り詰め持ち寄った6万円ほどの支援金を毎月現地へ送金し、子どもたちに学ぶ環境を提供し続けています。先日、学校から送られてきた英語の授業の様子がこちらです。

20193月19日 英語の授業の場面

この動画で授業をうけている子どもの数は約25人。「What is this?」「This is a table」といった基礎的な英語の文章を黒板に書き、全員で音読をしています(ミャンマーの学校での学習方法はこれが主流です)。

齢はほとんどが小学生ですが、2-3人ほど高校生ほどの身の丈の子どもがいます。この日は先生ではなく、英語が得意な生徒が黒板の前に立ち、他の学生の音読をリードしています。

ロヒンギャ難民キャンプでは、22%が5歳から11歳の小学生でその数は約20万人です(出典:UNHCR、2019年5月31日現在)。

一方で、12歳から17歳の中高生の年代は全体のうち、13%で約12万人。そのため、学校の多くは基礎的な学習がより必要な小学生を対象とした授業が多く、中高生向けの授業を行う学校がほぼないため、中高生が小学生と共に勉強することがよくあるそうです。

BRAJの長谷川さんは「難民キャンプの生活が長期化しているため、中学生向けの授業も開講できるようにしたいが、現地の状況や資金を考えると実現はまだ難しい」と話しています。

しかし今後は、学校の持続的な資金確保のために在日ビルマ・ロヒンギャ協会を法人として登記し、助成金など資金を集めやすい組織体制づくりも検討しているそうです。

2. 【現地からの声】
校長先生から届いた1通の手紙

そして、BRAJの長谷川さんは1枚の手紙の写真を送ってくださいました。この手紙は、現地の校長先生(学校の統括責任者)から送られてきた感謝の手紙です。BRAJの活動を支えてくださったみなさまにも、ご報告いたします。

2019年5月31日

親愛なるBRAJのみなさんへ

 

私たちはミャンマー・ラカイン州からきたロヒンギャです。私たちは今、バングラデッシュのコックスバザールにある難民キャンプで教えています。

先生と子どもたちは定期的に、BRAJが難民キャンプの学校に送ってくれる資金のおかげで、学校の状況はとてもよくなりました。2017年から今まで子どもたちに教えることができています。

私たちは教育の力を通じて、子どもたちに生きていくことを教え、そして見守っていきたいです。BRAJのみなさんをはじめ、子どもたちの支援をしてくださったすべての方々に感謝を伝えたいです。

本当にありがとうございます。

BRAJは、難民問題が発生した2017年8月にすぐに現地入りして学校を設立し、今まで約2年間教育を提供してきています。難民問題が長期化し問題解決が望まれる中、根本的な解決方法は未だミャンマー・バングラデッシュ両政府から出ていないのが現状です。

3. 【ドキュメンタリー】
「ミャンマーに帰って幸せに暮らしたいんだ」

こちらの動画は、2018年3月、フリージャーナリストの小西悠馬さん(慶応義塾大学)がBRAJの学校を取材し、その様子を伝えるドキュメンタリー映像「The Scares of Genocide」です。

僕たちはミャンマーに帰る。難民キャンプではもう暮らしていかない。バングラデシュにいても幸せになれない。ミャンマーに帰って幸せに暮らしたいんだ

映像のなかでこう語っているのは、ここで勉強している12歳ほどの少年です。過去のトラウマ、劣悪な居住環境、先の見えない未来。そんな状況の中、薬物中毒に陥る子ども、犯罪に走る若者、報復を望む若者のグループも実際に増えている…。

やり場のない思いやエネルギーを「報復」に向けないよう、子どもたちが、少しでも守られるように、できることは「教育」しかない、とBRAJは支援を続けています。そして子どもたちは、いつかミャンマーに戻り、また同じように安全で幸せな生活を送ることができる未来を信じて、学校で勉強を続けています。

彼らにとってこの学校は、未来へ続く唯一の希望です。絶対に、この学びの場を途絶えさせてはいけない。そう思わずにはいられないドキュメンタリー映像でした。ぜひ、ご覧ください。

4. 【緊急支援と今後】
暴風雨で学校が半壊…再びの危機を救った支援

学校運営に関し、今月上旬にBRAJから緊急支援の相談を受けました。それは

5月末に難民キャンプを直撃した暴風雨の影響で、学校の屋根が半壊している。教室が浸水し、授業ができる状態ではない。屋根が壊れてから、学校を休止している

という内容でした。既にBRAJの長谷川さん個人で6万円を現地に送金しましたが、元通りに修理するためにはあと20万が必要だそうです。

BRAJからの支援要請に、Earth Companyは再び応えることにしました。このままでは、1年前にみなさまに窮地を救っていただいた子どもたちの「学ぶ環境」が、失われてしまうからです。

この緊急支援は、「BRAJの活動を今後も応援したい」という支援者の方から20万円のご寄付のお申し出をいただき、Earth CompanyからBRAJを通じて現地へ送金できることになりました。そして6月には修復工事が始まり、6月下旬には再び子どもたちが学ぶ環境が整いました

こうしてBRAJの学校は危機を乗り越え、子どもたちの未来を照らす光として、子どもたちに学びを届けることができるようになっています。

温かいご支援に心よりお礼を申し上げるとともに、今後も引き続き、学校の様子をみなさまにご報告できるよう、BRAJとは密に連絡を取り続けてまいります。

5.最後に

2017年8月に多くのロヒンギャ族の人々がバングラデシュの難民キャンプへ移動してから、丸2年が立ちました。

問題は想定されていたよりも長期化し、もともと住んでいたミャンマーには帰ることは、「安全が保証されない」という理由で未だ実現していません。

問題当初から懸念されていたように、問題は

①イギリス植民地時代にミャンマーに移り住んだ不法移民という扱い(歴史的要因)
②多数派ビルマ族と少数民族ロヒンギャ族(民族的要因)
③仏教徒VSイスラム教徒という宗教的対立の構図(宗教的要因)

という3つ要因が複雑に絡み合い、いまだ具体的な解決策は出ていません。

そこに現れたのが、ロヒンギャ族出身のウェイウェイでした。

 

BRAJへの緊急支援を行った2018年6月には、ウェイウェイというロヒンギャ族出身のリーダーがIMPACT HEROになるとは思ってもみませんでしたが、僕はこの問題に対して効果的なアプローチを取ることができるのは、 ウェイウェイの他にいないのではないかと思っています。

父が政治犯という理由で、無実の罪で7年間の投獄生活の後、2012年にロヒンギャ族を含む若者・女性を支援するNGOを設立し、ロヒンギャ難民問題が起こった際には、現地へ駆けつけ、自分の資金で400人の女子たちに教育プログラムを提供するなど、彼女の行動力はずば抜けています。

さらに、ダボス会議に登壇するなど、グローバルにも活躍し、注目を浴びています。僕は、Earth Companyがウェイウェイを支援し、もっと深く彼女自身や活動を知る中で、「課題解決に向かうウェイウェイを全力で支援しなければいけない」という信念も生まれました。

トランプ大統領と面会するほどの政治的トップダウンと、難民キャンプで教育プログラムを実施するなどの草の根のボトムアップの、双方のアプローチをこれだけ高レベルで行う人材は彼女以外いません。僕は彼女を、このロヒンギャ難民問題に解決の光を灯すことができる、ノーベル平和賞を受賞するようなチェンジメーカーだと信じています。

Earth Companyの存在理由は、劇的に未来を変えるほどの並外れた変革力を持ったチェンジメーカーを支援し、社会を良くすることです。だからこそ、彼女が今、存続の危機に直面しているリーダーシップセンターの運営費を何としても集めたいと思っています。

ウェイウェイを応援するために、そしてミャンマーの未来を担う若者たちに教育を届けるために、皆さんのお力を貸してください。

2018年バングラデシュ・コックスバザールの難民キャンプに駆けつけ、現地の女性たちと話をするウェイウェイ。

一般社団法人Earth Company
ロヒンギャ緊急支援プロジェクト担当 島田 颯