ご報告:IMPACT HERO 2018 ファイナリスト発表!!!

今回、初めて行ったIMPACT HEROの公募には、アジア太平洋地域から70件以上の推薦と24名の応募がありました。

過去3名のIMPACT HEROは全員女性でしたが、24名の候補者の8割が男性
年代は30-40代が全体の2/3を占めましたが、20代という若い力も3名、60-70代の経験豊富な候補者が5名も!
そして取り組む社会課題は多岐に渡り、最も多いのは環境問題で、次に教育。貧困や医療問題に取り組む候補者もいました。

多くの団体が資金調達に苦心しながら、何とか活動している状況で、全体の6割が年間予算1,000万円未満
彼らが求めているのは、「資金支援」が100%ですが、資金面だけでなく、広報PR支援やパートナー団体の紹介などの「機会創出」は7割、団体運営などの「コーチング」も5割の候補者が強く希望しており、アース・カンパニーへの「寄り添う支援」へのニーズが強いことが明らかになりました。(詳しくは文末のインフォグラフィックをご参照ください)

そして、ここでは最終選考に残った6人のファイナリストの活動内容と、そのライフストーリーをご紹介いたします。
自らの人生をかけて、地域の社会課題解決に取り組む彼らの生き様を、ぜひ知ってください!(紹介はアルファベット順となります)

IMPACT HERO 2018の発表は2018年1月です。お楽しみに!

 

① K. Ramnath Chandrasekhar

 

名前:ラムナス・チャンドラスカ
:インド
年齢:28歳
運営団体名:Youth For Conservation (YFC) 共同創業者・ディレクター

取り組む課題:既存の学校教育にストーリーテリング、アートの手法を用いた自然教育を導入し、環境意識の高い若者を育む。

【ラムナスのライフストーリー】

インド南部の貧しい村に生まれ、大自然のなかで育ち自然を愛する心を育んだラムナス。

その後カメラマンを目指し、20代前半にインド各地の自然を撮影して旅するうちに、自然の激しさ、美しさだけでなく、各地で進む自然破壊を目の当たりにする。しかしそんな自然破壊よりも衝撃だったのは、子供たちが生き物や自然から遠く離れてしまった現実だった。

自然の変化に疎くなり、直せないものを壊すような大人になるのは、子供の頃に自然と切り離されてしまったからだと考えたラムナスは、子供たちに自然の魅力を伝え、自然を愛する心を育むべく、YFCを始めた

校庭での庭づくりや、絵本、ドキュメンタリーづくりを通して、子供たちは自然を肌で感じ、学ぶ。単発の啓蒙ではなく、継続的に教え続けるために、あらゆる学校内にForest School(森の教室)を作り、育てた生徒たちがさらにその次の世代を育てる未来を夢見て、過去2年の活動で地元の生徒50,000人に授業を行った。

学校の先生やコミュニティの人たちに何度も助けられてきたが、団体にスタッフはおらず、主にラムナス一人で活動を行っている。「まだまだやり切れていないことばかり。もっと質的、量的な飛躍が必要」と語り、子供達の未来を見据える。

 

 

② Abdul Matin Sheikh Maheen

 

名前:アブドゥル・シェイク・マヒン
:バングラデシュ
年齢:28歳
運営団体名:BacBon Limited / BacBon Foundation 創業者・代表

取り組む課題:テクノロジーを活用し、良質な教育機会をすべての若者に。国を支える人材を育てる。

【マヒンのライフストーリー】

アジアの最貧国の1つ、バングラデシュでも最も貧しい村から出て、国内トップのダッカ大学と日本の一橋大学の大学院へ。勉強の出来は決して良くなかったが、親身に支えてくれた数学の先生と、自分の勉学を断念して働いてくれた弟への感謝は片時も忘れない。

人口1.6億人のうち、若者の割合は40%。国は貧しく、若年人口は多いため基本的な教育インフラ整備は、ままならない状況が続く。この状況下でマヒンは、「オンライン教育や国中の先生たちを巻き込んだ取り組みがあれば、教育を、バングラデシュを変えられる」と信じ、2013年に団体を設立。教育機会が限られる子供たちや、優秀な教員の不足に悩む学校にオンライン授業を届け、その可能性には政府や大企業も注目している。

「教育は社会のバックボーン。国中の先生たちをサポートし、教育の力で国を変えたい」と母国の変革を夢み、教育改革に人生をかけて挑む。

 

 

③ Johnpierre Montilla

 

名前:ジョンピエール・モンティリヤ
:フィリピン
年齢:41歳
運営団体名
Kabataang Gabay sa Positiong Pamumuhay (Peers for Positive Living) 創業者
取り組む課題:貧困や虐待を背景に、薬物や暴力、犯罪で傷ついた若者のメンタルをケアし、再起をサポートするとともに、被害を未然に防ぐ。

【ジョンのライフストーリー】

フィリピンのネグロス島に、5人兄弟の3番目の子として生まれる。16歳で結婚を強いられた母が、何度も堕胎を試みたなかで奇跡的に生まれたジョンは、望まれない子として度重なる虐待を受けながら育ち、12歳で家を出てストリートチャイルドに。生きるために児童売春で食い繋ぎ、人身売買でパナイ島の麻薬組織に売られ7年が経ったところで政府組織に救われた。

その後、社会福祉開発省などの奨学金を得て進学。大学在学中の1998年に自分と同じように親から見捨てられたり、貧困から生き延びるために薬物や売春などの犯罪被害者となる7-24歳の若者にメンタリングとヒーリングを行う団体を設立。団体設立から20年経った今、活動は全国16拠点に広がり、8,000人の若者の再起・更生を支援すると共に、被害の予防を図っている。

現在、ジョンは政府の社会福祉開発省で働き、給料の多くを団体活動に投じ、傷つく若者たちの「拠り所」として犯罪組織と闘う。団体の柱として多くの若者を支えるが、「自分も子供の頃に受けた傷から、完全に回復しているわけではない。彼らと自分はまったく同じ立場で、その傷を乗り越えようとしている」と語る。

 

 

④ Piter Harry Panjaitan

 

名前:ピーター・ハリー・パンジャイタン
:インドネシア
年齢:35歳
運営団体名:Bali Life Foundation ディレクター

取り組む課題:ストリートチルドレンを保護する孤児院を運営。貧困を脱するための教育と生活を子供たちに、スキルトレーニングを親たちに提供する。

【ピーターのライフストーリー】

インドネシアの中流家庭で育ったピーターは、持つものを分かち合うことを母から、コミュニティに貢献する行動力を父から教わった。同じように両親から学んだ姉は、2004年のスマトラ地震を、ピーターも2002年のバリの爆弾テロの支援を行うなど、多くの社会貢献をしてきた。

2006年、姉夫婦がストリートチルドレンに衣食住や基礎教育を提供する孤児院「バリ・ライフ・ファンデーション」を始めると、支援が必要な子供たちで団体はすぐにいっぱいになった。ピーターも姉を手伝い、得意の音楽で子供たちに笑顔をもたらすうちに、活動の中心を担うようになり、2013年に代表を引き継いだ。現在、40人以上の子供たちが施設で暮らし、今では団体を卒業して、大学に通う子もいるほど。

すでに孤児になってしまった子達を救うだけでなく、根本的な解決を図る必要性を感じたピーターは、「本来は親と生活できるのが理想」との想いから、ストリートチルドレンや親たちにスキルトレーニングを提供する。ストリートチルドレンになってしまう前に、貧困から脱し、家族で一緒に過ごせるように支援している。

「スキルトレーニングも奨学金もギリギリのところでやっている。活動を続けるために必要なことはまだまだある」と語るピーターは、捨てられる子供たちと子供を捨てる親を減らすために、24時間365日、全身全霊をかけて活動する。

 

 

⑤ Sebastien Perret

 

名前:セバスチャン・ペレ
:ラオス
年齢:40歳
運営団体名:Vientiane Rescue 1623 創業者・代表

取り組む課題:交通事故時の救命サービスが無く、多くの命が失われる中、無料の救急車で救える命を救う。

【セバスチャンのライフストーリー】

フランスに生まれ、小学校の先生を目指して勉強する傍ら、ボランティアで消防士として活動していたセバスチャン。数年働いた後、ボランティアに渡ったラオスで、彼の人生は変わった。

ラオスでは経済発展に伴い、交通事故が増える一方、救命サービスの不足が深刻な状態。政府は無関心から、そして国際NGOは課題の難しさから、誰もこの社会課題に取り組まず、路上で数多の命が失われていた赤十字で働いていたセバスチャンは、資金もNGOの運営経験も無かったが、2010年に地元の有志の若者と共に、ラオス初の無料の救命サービスを行うため、救急車を走らせ始めた

怪我人を運び込んだ病院で、「金がないなら帰れ」と追い返されることもあった。障害は多いが、チームで支え合い、活動を続けている。チーム全員がボランティアだが、「チームのために役立ちたい」と、骨折した時も出勤してくるほど使命感を感じ、活動に従事している。

その熱意ある活動に周囲も変わり始め、怪我人を追い返していた医者も、彼らの活動に「ありがとう」と声をかけるように。これからも、一つでも多くの命を救い、人々の意識を変え続けるために、新しい事業構想をあたためているが、立ち上げに必要なリソースが圧倒的に不足している。

 

 

⑥ Sharad Chandra Rai

 

名前:シャラド・チャンドラ・ライ
:ネパール
年齢:30歳
運営団体名
YouMe Nepal 創業者・代表
取り組む課題:ネパールの教育機会のない僻地に、カースト階級に関係なく子供達が学べる教育システムを作り、教育格差を無くす。

【ライのライフストーリー】

ネパールのエベレスト山脈にある、水も電気もない貧しい山村に生まれ育つ。

幼少の頃は、毎朝4時半に起き往復2時間歩いて水を汲み、その後、さらに往復2時間の学校に通った。10歳の時、国の試験を受け、1万人の中から99人の奨学生の一人として選ばれ、都市部の学校に進学。その後、奨学金で日本の立命館大学に留学し、東京大学大学院を卒業する。

ライは日本で高等教育を受けてきたが、祖国ネパールでは、学校があっても教師がいないなど必要最低限の教育環境すら整っていない。自分が受けた恩を国に返すため、ライは2011年にYouMe Nepalを設立。

これまでに、2つのYouMe School(夢学校)を設立し、200人の生徒が元気に通っているが、最終的にはネパール全75地区に良質な学校教育をつくることを目標としている。

現在はその活動資金を得るため、東京でソフトバンクに勤め、給料の多くを団体運営に注ぎ込んでいる。1日でも早くネパールに戻り、活動に専念できるような体制作りを目指す。

 

【IMPACT HERO 2018 応募者の統計概要】

※画像をクリックするとPDFファイルでご確認いただけます。

Impact Hero 2018 Nominations Infographic