4月 10, 2023

とますか日記 VOL.13:アジア太平洋の光と影

私、濱川知宏は、先週(2023年3月末)、3年半ぶりの海外出張で香港とシンガポールを訪れました。パンデミックによる制約がなく、子供なしの渡航がこんなに楽だとは、忘れかけていました!

バリ島ウブド在住の「村民」にとっては刺激的な街並み

 

バリ島、シンガポール、香港というインドシナの3つのダイナミックな島。土地面積や人口規模が似ている三つの島ですが(バリ島440万人、シンガポール540万人、香港710万人)、それぞれの過去、現在、未来はこれ以上ないほど異なっています。

シンガポール、香港在住の旧友、新友、ワークパートナーとの会話は、サステナビリティ、フィランソロピー、ソーシャル・インパクトといった私にとっては当たり前の話題だけでなく、地政学の変化、消費者物価の上昇、新しいキャリアのステップなど、刺激的な気づきもありました。

今回シンガポールで会った旧友・親友・ワークパートナー

 

今回シンガポールで会った旧友・親友・ワークパートナー

 

ヒーローたちがバリ島に集結

 

そんなアジアの輝かしい一面とは打って変わって、今週はバリ島に戻り、数日後にアフガニスタン、モンゴル、インド、パプアニューギニア、インドネシアから集まってくる8人のIMPACT HEROファイナリストの到着を心待ちにしています。

今年のIMPACT HEROファイナリスト。詳細はこちらから

 

彼ら、彼女たちのライフストーリーは一人一人感動的で、中には想像を絶する体験を経て、人生をかけて社会課題・環境問題に取り組んでいるチェンジメーカーがいます。

例えば、アフガニスタン出身・パシュタナ・ドラーニのヒューマンドラマ。

内戦とタリバンから逃れるためにアフガニスタンを離れ難民となった両親の元、1997年にパキスタンで生まれ、2016年まで難民キャンプで育ったパシュタナ。難民キャンプでは教育機会が著しく制限されており、約12キロ離れた一番近い学校に行くための交通手段もなかった。元々部族のリーダーだった父親が、2001年に難民キャンプに女子校を開校。両親はこの学校の教師として女子教育の必要性を説き、教育機会の提供のために尽力。そのような両親の影響もあり、自身も女子教育の普及に取り組むことを決意。

2018年にLEARNを設立。ジェンダー平等に向けて、女子が質の高い教育へアクセスできるよう、タリバンの目に触れない「秘密の学校(Secret School)」を運営し、英語やSTEM教育などを含む幅広い内容のオンラインカリキュラムを、現地ファシリテーターと共に4校400人の女学生たちに届けている。

更に、パプアニューギニア出身・クレシダ・クアラのヒューマンドラマ:

パプアニューギニアの中央に位置する世界有数の金鉱地帯であるPorgera(ポルゲラ)で育ったクレシダ。カナダ・中国資本の鉱業会社が独占支配するこの土地では、鉱業会社による現地住民、特に女性への暴行・レイプが横行しており、数多くの人権侵害が報告されている。弟も鉱業会社の従業員に殺害され、自身も複数回の性的暴行を受けた過去を持つ。

 壮絶な経験を経て、2014年に先住民の生活や伝統文化、特に女性たちの権利を守るために、Porgera Red Wara Women’s Associationを設立。被害女性5,000人のコミュニティを束ね、世界に向けて地域の現状を勇敢に発信し、政府や採掘会社へのアドボカシー活動を行うと同時に、教育や職業訓練を通して、被害女性たちの生活向上に取り組んでいる。

 

予測不可能な「光」、複雑化する「影」

 

先週僕が体験したこと、そして来週体験することは、どちらもアジア太平洋の未来を象徴するものです。

バリ、香港、シンガポールという3つの島がこの地域の経済的ダイナミズムを表しているとすれば、IMPACT HEROファイナリストたちが代表するコミュニティや課題は、私たちが直面しなければならない重要な現実です。まるで、アジア太平洋の光と影。

VUCA(Volatility変化、Uncertain不確実、Complexity複雑、Ambiguity曖昧)と呼ばれるこの予測不可能な時代に、アジア太平洋が抱える課題・問題はさらに複雑化していきます。それに立ち向かうには、創造的でリジェナラティブな希望とエネルギーが必要だと思います。

いよいよヒーローたち集結。バリ在住のEarth Companyメンバーにとっても、初めて彼らに直接会い、彼らのストーリーを深く理解し、どうすれば彼らをよりよくサポートできるかを模索する、エキサイティングな時期です!

4月14日には、マナで一般向けのトークイベント開催

 

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