7月 3, 2020

とますか日記 VOL.11:ピンチは進化するためにある!EARTH COMPANY流 WITHコロナ時代のサバイバル(裏話)

新型コロナウィルスが世界に広まり始めてから、早くも5ヶ月が経ちました。このパンデミックによって世界中で多くの人たちの環境、生活が一変し、企業にとっても、個人にとっても、大きな影響を及ぼしていますが、Earth Companyも例外ではありません。

新型コロナウィルスが世界に広まり始めてから、早くも5ヶ月が経ちました。このパンデミックによって世界中で多くの人たちの環境、生活が一変し、企業にとっても、個人にとっても、大きな影響を及ぼしていますが、Earth Companyも例外ではありません。

1年ぶりとなってしまった「とますか日記」では、Earth Companyがどのようにコロナ影響と向き合ったのか、そして私・濱川明日香個人がその中で何を感じたのか、をお届けしたいと思います。

 

ピンチ!2021年春までの研修がキャンセル、エシカルホテルは営業停止に…

毎年2月と3月はバリ島チェンジメーカー研修の繁忙期で、今年も10本の研修が合間なく予定されていました。

ちょうど2本目が終わったあたりからパンデミックが深刻化し、それからというもの毎日のように、2月末の研修、3月、4月、そして夏の分、秋冬、さらには2021年春の研修までがキャンセルとなり、メールを開くたび、目の前が徐々に闇に包まれていくようでした。例年この時期、年間収益の7割を生んでいる本事業にとっては、大打撃。この収益がなくなるということは、IMPACT HEROたちの支援をするために必要な活動費が捻出できなくなることを意味していました。

またバリ島に去年9月にオープンし、年末年始にようやく利益をあげられるようになり始めたエシカルホテルのMana Earthly Paradiseも、3月以降の予約は全てキャンセルとなり、なんとオープンからたったの半年で、悲しくも営業停止となってしまいました。

それでもホテルなので維持費はかかるし、30名のスタッフもいる。バリ島のスタッフは、この仕事に生計がかかっていました。

Earth Companyには13名のチームメンバー、4人のIMPACT HERO、そして彼らの年間約14万人の受益者がいます。

彼らは、今日食べるものがない人々、貧困で学校に行けない子たち、医療にありつけず亡くなる妊産婦、気候変動による海面上昇で生活が脅かされている人々、人種差別により国を追放され難民となった人…そう、コロナパンデミックよりもずっとずっと前から、非常事態を生きる人々なのです。

IMPACT HEROを支える活動が止まってはいけない!

その使命感と、チームに対する責任感と、状況に対する悔しさと、ピンチをチャンスにする決意と、大きな重圧と、不安と、漲るアドレナリンと…自分でもよくわからない不思議なモードで(苦笑)、夜な夜な対策を考えていました。

 

Excelとにらみ合い、シミュレーションを繰り返す日々

まずは、この状況が当面続いた場合あと何ヶ月キャッシュフロー が持つのか把握するため、様々なシナリオを想定してシミュレーションし、2月末当時の時点でわかったのは、2つ。研修事業の収益は、おそらくしばらく見込めないこと。そして、寄付損失を考慮すると、Earth Companyの運営費は6月までしか持たないということ。

IMPACT HEROを支えるマザーシップである私たちが倒れるわけにはいかないので、Earth Companyがまず存続しなくてはいけない!

そしてIMPACT HEROの活動が存続すること。

そしてMana Earthly Paradiseが存続すること。

とにかくそのために、あらゆるシミュレーションをし、同時にIMPACT HEROの現状とこの緊急事態を乗り切るのに必要となる最低限のニーズを調査した結果、以下が急務となりました。

  1. コスト最小化
  2. ファンドレイジング
  3. 新事業の開発

 

特にマナにおいては、ホテル、レストラン、ストア、と全てクローズし無収入のまま維持費だけが発生するシナリオから、今できることをフル稼働で行い、少ない収入でも発生するコストを極力カバーするシナリオまで、7つのシナリオを試算した結果、どれにおいても赤字は避けられないが、その赤字の額がどれも大差ないことがわかりました。

 

「未来」に備えて、みんなで、できることは全部やる!

 

それなら一般的には、完全に冬眠し、体力温存するのがおそらく一番効率の良いチョイスでしょう。

逆にフル稼働シナリオは、それぞれの生活や、子供の学校が休みになり困難な状況の中、大きな熱量をこれに注ぎこむことになるため、一番エネルギーを消費する選択肢です。

そこでマナの現地スタッフたちに相談したところ、満場一致で「フル稼働シナリオ」に賛同してくれました。

なぜなら、そうすれば

① バリ人スタッフに雇用を提供し続けることができる
② パンデミックが収束した時には、新たな収入源や、お客様をより魅了する状態ができていることになる
③ チームがより強く、そしてよりしなやかな対応力、適応力を身に付けることができる

からです。効率的ではないかもしれないですが、これが一番効果的な選択だと思えました。なにより一番私たちらしい選択だと思い、とても嬉しく、「できること全てやろう!」と奮い立ちました。

バリ人スタッフは、みんなこの仕事に生活がかかっているのに、自分の暮らしを犠牲にしてでも「みんなで助かろう」とする彼らの精神の尊さと、この文化の智慧、この価値観が創るコミュニティの真の強さを、見せてもらった気がしました。

SDGsのモットーである「誰一人取り残さない」を、バリの人たちは古来から実践してきたのです。

 

そして、温かいご支援が次々と…

 

同時に、いつもIMPACT HEROを支えてくださる支援者の皆さまに、彼らの状況を伝えさせていただきました。

そうすると、想像を遥かに超えるたくさんの方々がご支援くださいました。そして不思議と、状況をお伝えしていない方々からも、引力でもあったかのように、ご支援のお申し出があり、1週間で1000万円を超える寄付金が寄せられました!

誰もが苦しく、そしてこの先どうなるかわからない大きな不安の中、こうして海の向こうの状況に思いを馳せてくださるみなさんのお気持ちが、なんとも嬉しく、毎日感謝の気持ちで満たされました。

裏話ですが、実は寄付のために、台湾の企業のコマーシャルにも出演しました笑。

主演したら、出演料の他にEarth Companyに1万ドル寄付するというお申し出があったからです。まだ渡航規制が始まる直前、ほぼ空っぽの飛行機に乗って、4日間台湾で弾丸撮影をしてきました。そしてそれがきっかけで、台湾の他の企業や個人の方々からもご寄付を賜り、バリ島でコロナ影響で職を失った人たちの食糧支援や、マーシャル諸島の気候変動教育を継続するための支援、そして私たちの活動資金の一部も、確保できました!

 

一緒にならピンチもチャンスにできる!

 

これでなんとか団体の寿命は、6月で破綻という予測から10月まで首の皮一枚でつながりました!

そして全体ミーティングでも「この危機は長期化しそうだけど、みんなのクリエイティビティを今こそ駆使して、ゼロベースで革新的なアイディアを出し合って、みんなでなんとか乗り切ろう!」と皆で士気を高め、それから間も無く、以下のような数々の新プロジェクトが生まれました。

 

こちらは先月終了しましたが、当初はこのご時世50人も難しいと思いましたが、なんと145名の方がサポーターとなり、年間300万円相当の継続寄付を新たに頂くことができました!もう驚きと感動と感謝とで、チーム一同いまだに余韻に浸っています。ご協力いただいた皆さま、本当に、本当に、ありがとうございます!

また皆さまから想い詰まったそれぞれのメッセージに、どれだけチームが励まされたか。プロジェクトメンバーから毎日シェアされるその日の進捗と皆様のメッセージを読むのが、私たちの毎日の楽しみになっていました。

 

バリ島現地でのみ開催してきたチェンジメーカー育成研修も、早速オンラインで試みることにしました。

GWに始まる全10回、3ヶ月の第1期のコースでは、申し込み開始から1週間で30名枠が定員オーバーし、増枠した5枠も1日で売り切れに!熱心な参加者の皆さんと、今もコースを共にさせていただいていますが、短期で濃い学びを凝縮した「非日常」で行う現地プログラムとは違い、「日常」の中で時間をかけてじっくりとインパクトが広がりじわじわと定着する、オンラインならではの手応えは、新発見でした!

 

環境省の助成により事業化を進めている、企業・自治体・学校法人・NPOなど組織のオペレーションをエコ化するプロジェクトOperationg Green

この度クライアントとのプロジェクト推進が困難となったため、この時期をプロモーションする期間と捉え直し、オンライン勉強会を始めました。

このご時世なので、「Eco at home」という自宅でできるエコアクションにフォーカスしたところ、計6回で600名を超える方々が参加してくださいました!

さらには自治体の市議会議員向けのエコ勉強会も始まり、エコ化導入はスローダウンしているものの、プロジェクト認知とインパクトは、じわじわと広がっています。

 

  • マナでの新プロジェクトの数々

観光客がゼロとなった今、マナでも同じくこれを投資期間と捉えて、コストを抑えつつ、フル稼働で新プロジェクトをたくさん手掛けています。

打ちのめされそうだった最中、思っても見なかった救いのご寄付を頂き、危機からより力強く、より賢く、よりパワフルに這い上がることを意味する「灰から蘇る不死鳥」の例えから、この新プロジェクトを「フェニックスプロジェクト」と勝手に命名し(笑)、ありがたく実行することができています。

  • レストラン:
    デリバリー開始、メニューの改善、プロによる「インスタ映えする」撮影、リノベーションのデザイン計画
  • エシカルショップ:
    ショップの完成とローンチ、商品のデリバリー開始(バリ島のみ)、インスタでのプロダクトカタログ制作、各ブランドのエシカル貢献度リサーチ
  • エコヴィラ:
    マンスリーレンタルの開始(すでに数名住んでいる方がいますが、ドミトリーには今月から3ヶ月シュタイナー系のプレイグループが入ります!)、ヴィラとエコテクノロジーのメンテナンス
  • マーケティング:
    分析とブランディングのブラッシュアップ

 

これらを手掛け、Earth Companyもマナも、なんとか12月まで持ちそうです!

とは言え状況が改善されなければその後の保証はないので、下半期も引き続き走り続けます。

 

竹のようにしなやかに

 

団体にとって、これほど大きな危機は初めてでしたが、過去にも危機はありました。

設立間も無く、確約のあった大型プロジェクトがキャンセルになった時、一つの財源に頼ることのリスクを痛感し、財源の多様化に努めました。

2017年から2018年にかけて、バリ島の火山が噴火し、研修プログラムが半年にわたって見事にキャンセルとなった時、研修先の分散の必要性を感じ、昨年はマーシャル諸島での気候変動研修事業を立ち上げ、今年パイロットプログラムを企画していたところでした。来年は東ティモール開催のプログラムのアイディアも出ていました。行き先を分散したところで今回は、世界中で非常事態となってしまいましたが…。

これまでもその時々頭を抱えましたが、なんとかチームで知恵を絞り出し、事業の多様化、ポジティブなリスクヘッジを試みることで、竹のように強くしなやかで、柔軟な対応力と、曲がらない信念で、何度でも起き上がる団体に、成長する機会を与えられているんだと、認識しています。

そしてこれらを乗り越えることの何よりの価値は、新事業よりも、新財源よりも何より、強まるチームの絆と、お互いへの感謝の気持ちを再確認できること。そして支援してくださる方々からの思いに心打たれ、改めて、皆さんのおかげで存在できている団体であることを心底実感し、より謙虚に、そして初心に返る機会を頂けたことだと、思っています。

それらと、優秀で熱心で心優しく志高いこのチームがあれば、どんな逆境も、乗り越えられると思うのです。

感謝、感謝、全てに感謝。