10月 30, 2023

ご報告:IMPACT HERO 2021 アリーフ・ラビック来日ツアーレポート

Earth CompanyがIMPACT HERO 2021として選出し、これまで約2年半に渡って支援を届けてきたアリーフ・ラビック。インドネシアを中心に「竹を活用したバンブー・アグロフォレストリーによる土地の再生」に取り組んでいるチェンジメーカーです。

現在、世界中の土地の約25%が劣化し、この状態が続けば、2050年までに地球上の95%の土地が荒廃する*と言われています。国連も、2021~2030年の10年を、人類が地球上で豊かに存続するための「ラストチャンス」として、生態系回復に向けた取り組みを本格的に推進しています。

国際社会でも既にその意義が認められているアリーフの取り組みを、より多くの日本の方たちにお伝えすべく、今回の来日ツアーを企画しました!

アリーフ・ラビック 来日ツアーサマリー

2023年10月11日から17日の1週間、Earth Companyはアリーフ・ラビック氏を日本に招待し、東京・京都を訪れました。日本では、主に日系企業訪問、竹の専門家との面会、メディア対応、イベントを開催。アリーフが新たに立ち上げた国連との協働イニシアチブである、「Bamboo Village Trust」への日本からの支援・協力を仰ぐため、ネットワークを拡大しました。

日本での面談数

16

イベント動員人数 

177人

研究者・メディアとのつながり

8件

1.来日ツアーの目的

 

2023年9月、アリーフはこれまで取り組んできた「バンブービレッジ構想」を世界中に拡大していくために、新しく「バンブービレッジ・トラスト」という基金を立ち上げました。この基金を通じて、国連生態系回復の10年(UN Decade on Ecosystem Restoration)と連携し、12カ国にバンブービレッジモデルを広げていくための資金調達を行っていきます。

今回の来日では、アリーフの取り組みを推進するため、以下3つを主な目的としました。

  1. バンブービレッジ・トラストの支援者を募る
  2. 竹・気候変動・荒廃地の専門家とのネットワークを拡大する
  3. インドネシアで事業を行う日系企業とのパートナーシップ提携を進める

また、Earth Companyとして、2023年12月で3年間の支援が終了するアリーフと、支援者の皆さまが直接会って交流できると共に、ご支援への感謝を伝えられる場を設けました。

 

2.来日ツアーハイライト

 

➀来日公式イベント「ビジネスが創る、リジェネラティブな未来とは~森から、人と自然が共繁栄する世界へ」開催

 

 

アリーフの来日を機に、日本のビジネスや消費のあり方を変えるキーパーソンをお招きして「ビジネスが創る、人と社会と自然が共繁栄する未来」について紐解くイベントを10月14日に開催しました(会場もB-Corp認証のレストラン「KIGI」に協賛いただきました!)。

当日はサントリーCSR推進部長の一木典子さん、エシカル協会代表理事末吉里香さんをパネリストとしてお招きし、会場が満員となる60名の方にご参加いただきました。

→イベントレポートはこちらから!

 

サントリーホールディングス株式会社での講演会を実施

 

 

「水と共に生きる」をモットーとするサントリーホールディングス株式会社に訪問し、竹による森林再生を通じて水を育んでいるアリーフの講演を開催。「人と社会と自然が共に繁栄していく“リジェネラティブ=再生的“なビジネスとは」をテーマに、全社から参加を希望した117名に対して、世界が直面している水不足や荒廃地の問題や、バンブーアグロフォレストリー(竹を植えた土地で農業と林業を同時に行う手法)を通じた森林再生が生み出す経済的な価値についてお伝えしました。

2024年度、Earth Companyはサントリーグループの入社2年目社員約260人を対象とするグローバル研修を、バリ島で提供。研修ではアリーフの活動からバリ島の森林再生や水の再生を実現するビジネスモデルについても学ぶ予定となっています。

→バリ島研修のプレスリリースはこちら

 

日本で新たな竹文化を創るCHIKAKENのみなさんと竹あかりを訪問

 

 

「竹あかりを新たな日本の文化に」をミッションに掲げ、日本の竹に灯りをともした展示を行うCHIKAKENのみなさまと、高輪プリンスホテルで行われていた竹あかりを訪問しました。

斬新な竹の活用方法に感動したアリーフは、日本とバリの竹文化の交流のために、2025年度にインドネシア・バリ島で開催を企画しているバリ・バンブー・フェスティバルで竹あかりの展示を行ってほしいと伝えるなど、今後の連携可能性が生まれました。

 

竹のデザインを専門とする武蔵野美術大学教授との協働の可能性を模索

 

 

2007年から武蔵野美術大学は、EDS竹デザインプロジェクトの中で、世界的に著名な竹のデザイナーであるアリーフの母親を日本に招待していました。今回約13年ぶりに、担当教授との再会を果たすとともに、バンブービレッジで取れた竹の活用方法について、協働可能性を模索しました。

 

World Bamboo Organization 日本アンバサダー訪問

 

 

京都で100年以上に渡って竹の資材を取り扱っている竹平を訪れ、World Bamboo Organizationの日本アンバサダーである利田淳司氏から京都における竹の活用についてお話を伺いました。

 

⑥熱帯林資源の保全を行う国際機関でバンビービレッジの取り組みを紹介

 

 

熱帯林の持続可能な経営を促進するために設立された国際機関・ITTO(国際熱帯木材機関)を訪問し、アリーフが取り組むバンブービレッジがいかに現在の木材需要を竹に代替していくことができるかという点を紹介しました。アリーフがシニア・アドバイザーを務めるEnvironmental Bamboo Foundationは、2017年にITTOとともに「竹資源の効率的かつ持続可能な利用のため研究」に取り組んでいたこともあり、今後の連携の可能性を議論しました。

 

⑦ オンラインマガジン「IDEAS FOR GOOD」の取材に対応

 

 

ソーシャルグッドなアイデアを集めたオンラインマガジン・IDEAS FOR GOODさんからの取材を受け、バンブービレッジモデルの革新的な点や、荒廃地の再生を通じて生み出したい再生経済(restoration economy)について話しました。記事は、近日公開予定です。

 

3.来日ツアーまとめ

 

 

バンブー・アグロフォレストリーを通じた土地の再生に経済価値を加えたアリーフの活動は、企業・アカデミア・メディアなど多くの方々に注目していたきました。

来月11月に行われるCOP27で、詳細が発表されるバンブービレッジ・トラストへの協賛を募ったり、複数メディアからの取材を受けて、アリーフの取り組みへの認知拡大につなげることもできました。これから世界に広げようとしているアリーフの取り組みを、資金、専門性、ネットワークなどのリソースでサポートするための様々なつながりができたことが、今回の来日ツアーの成果だと感じています。

アリーフが人生をかけて取り組むが行う「バンブービレッジ構想」は、荒廃地を再生させながら、竹や穀物をの栽培や加工により通じた経済価値を創出し、農村コミュニティをエンパワーするモデルであり、まさにEarth Companyが描くリジェネラティブな未来を体現している事業です。

日本では、竹というと放置竹林を始めとする竹害のイメージがあり、あまりポジティブな印象を持たれていないと、正直これまで感じていました。しかし、今回の来日を通じて、竹の専門家であるアリーフから直接、日本と熱帯の竹の違いや、竹が環境に与える素晴らしい効果について語ってもらうことで、竹の「地球を救う可能性」を多くの方々に知っていただくことができ、実りある来日ツアーができたことを、とても嬉しく思っています。

IMPACT HERO支援担当
島田 颯