1月 22, 2023

【発表】IMPACT HERO 2023 ファイナリスト!

2022年7月に開始したIMPACT HERO 2023の公募には、史上最多となる76名のヒーローたちから応募がありました。多くの並外れた応募者の中から候補者を絞り込むプロセスは、決して容易ではありませんでしたが、アジア太平洋の各地で素晴らしい取り組みを行う多くのチェンジメーカーの生き様や活動に触れる中で、私たちを奮い立たせるほど心を動かされる選考プロセスとなりました。 書類選考を通過した21人とのインタビューの後、Earth Companyの選考委員による度重なる熱い議論の結果、国や地域の未来を変える変革力を持った8名をIMPACT HERO 2023 ファイナリストとして選出しました!ここにそのファイナリストをご紹介させていただきます。

IMPACT HERO 2023 ファイナリストのご紹介

アジア太平洋の各地で変革を起こしている彼女たちの、人々を惹きつけるストーリー、そして社会・環境課題へのリジェネラティブな解決策をぜひご覧ください!

選出された9名は、これから6か月にわたって「Lead-to-Regenerate (L2R) チェンジメーカー・プログラム」というリーダーシップ研修に参加し、リジェネレーションの概念や、事業インパクトの拡大に必要なスキルについて学びます。

ファイナリストへの支援

支援の詳細


1.  Lead-to-Regenerate(L2R)チェンジメーカー・プログラム

 

1.1 オンライン セッション

毎月のオンラインセッションでは、リジェネレーションの概念や各活動・コミュニティにおけるリジェネラティブな未来を実現するために必要な知識やスキルを学ぶ機会を提供します。

1.2 HEROESキャンプ IN バリ島

4日間にわたってインドネシア・バリ島に滞在し、ファイナリスト同士やIMPACT HEROと交流に加えて、潜在的な連携パートナーや支援者と繋がる機会を提供します。

1.3 リジェネラティブフューチャーズ・サミット 

オンラインセッションの学びをもとに、ファイナリストそれぞれが描くリジェネラティブな未来像を発表します。インパクト投資家、慈善家、アクセラレーターなどを招待し、パートナシップ拡大の機会を作り出します。

2. メンターシップ

L2R プログラムを通して見えた 支援ニーズに基づき、事業開発やインパクト投資、マーケティング、リーガル、リーダーシップなどにおいて専門性を持つメンターをファイナリストに紹介します。

3. ネットワーキング

ファイナリストから共有された支援ニーズに基づき、Earth Companyのネットワークにおいて出来る限り多くの機会を随時紹介しています。

IMPACT HERO選出に関する重要なお知らせ 

IMPACT HERO選出プロセスを変更いたします


目まぐるしく変化する社会環境と、それに合わせて進化が求められるIMPACT HERO支援事業のあり方を踏まえて、選考委員会で検討を行った結果、今年度より、IMPACT HEROの選出プロセスを変更いたします。

これまでは、書類審査とインタビューを経て次年度からのIMPACT HERO1名を選出していましたが、今年度からは、上記のプロセスでIMPACT HERO候補となる9名のファイナリストをまず選考し、半年間のリーダーシップ・プログラムへの参加を通して、関係の構築や支援ニーズの明確化を行ったうえで、最終的に1名のIMPACT HEROを選出することになります。

IMPACT HERO 2023 は、2023年6月末に発表予定です。どうぞ楽しみにお待ち下さい!

MPACT HERO 2023 ファイナリストの活動内容

ベニ・サントソ

活動国 インドネシア
団体 Ini Tempe

ミッション:国内での伝統的大豆生産の活性化と農家の女性のエンパワメントを通して、インドネシア発の美味しい植物性タンパク質源でスーパーフードである「テンペ」を世界に広める

プロフィール:大豆の発酵食品テンペは、インドネシア国民のソウルフードとして、また貴重なタンパク質源として日常的に消費されているが、その原料となる大豆の99%は中国などから輸入される安価な遺伝子組み替え大豆で、土着の大豆よりも栄養価が低い。またインドネシアで大豆生産等に携わる小規模農家の平均収入は毎月約1.7万円と低水準である。

 こうしたテンペを取り巻く現状に課題意識を持ち、大学の卒業研究で、国産大豆を用いたテンペの開発に取り組んだベニ。卒業後iniTempeを創業し、ジャワ島・バリ島の農家と共に、一度途絶えてしまった遺伝子組換えでない大豆栽培を再開し、栄養価の高いテンペを用いた健康食品の開発・普及を通じて、農家の収入向上に取り組んでいる。

クレシダ・クアラ

活動国 パプアニューギニア

団体 Porgera Red Wara Women’s Association

ミッション:鉱業会社に故郷を荒らされ、強制移住やレイプ・暴行を強いられたポルゲラ鉱山の先住民の女性の声を世界に届け、人権侵害や環境汚染に終止符を打つ

プロフィール:パプアニューギニアの中央に位置する世界有数の金鉱地帯であるPorgera(ポルゲラ)で育ったクレシダ。カナダ・中国資本の鉱業会社が独占支配するこの土地では、鉱業会社による現地住民、特に女性への暴行・レイプが横行しており、数多くの人権侵害が報告されている。弟も鉱業会社の従業員に殺害され、自身も複数回の性的暴行を受けた過去を持つ。

 壮絶な経験を経て、2014年に先住民の生活や伝統文化、特に女性たちの権利を守るために、Porgera Red Wara Women’s Associationを設立。被害女性5,000人のコミュニティを束ね、世界に向けて地域の現状を勇敢に発信し、政府や採掘会社へのアドボカシー活動を行うと同時に、教育や職業訓練を通して、被害女性たちの生活向上に取り組んでいる。

ガル・ワンディタ

活動国 インドネシア・東ティモール、ミャンマー
団体 Asia Justice & Rights (AJAR)

ミッション:人権侵害の被害者・生存者をエンパワメントし、加害者に説明責任・過去の過ちを認識させ、人権問題解決に取り組む文化を醸成する

プロフィール:1990年代から、ジェンダー、平和、紛争の問題に取り組んできたガル。1996年にインドネシアの占領下にあった東ティモールに渡り、レイプ被害にあった女性支援を行う国内初となるNGOを共同設立した。以後、国際人権NGOオックスファムや国連規約人権委員会で人権問題を専門とする。

2012年インドネシアに戻り、AJARを設立。インドネシア、東ティモール、ミャンマーにてアドボカシー活動や、人権被害にあった人たちのリハビリ研修の提供など、地域や国を超えて、平和と正義のための変革に取り組んでいる。

ラスティアナ・ウタミ

活動国 インドネシア

団体 ALIET GREEN

ミッション:農作物のバリューチェーンを改善し、地域の女性農家の生産性、収入向上、および気候変動へのレジリエンスを強化する

プロフィール:大学卒業後、NGOでキャリアをスタートしたラスティアナ。農家の支援を通じて女性の貧困問題を目の当たりにし、23歳の時、農業xビジネスで女性のエンパワメントをすることをミッションに掲げ、ALIET GREENを創業。

ALITE GREENは、小規模農家にオーガニック栽培の研修を提供し、取れた作物を市場価格よりも高値で買い取り、アメリカやヨーロッパの市場に販売している。1539人の小規模農家と提携し、そのうち96%は女性、1%は障がいを持つ人たちと、農業を通じたジェンダー平等・インクルーシブな社会の実現を目指す。また再生型農業により、侵食・地すべりで劣化した東京ドーム100個分以上の広さの土地の回復に取り組んでいる。

オユンゲレル・テッデンダンバ

活動国 モンゴル
団体 Let’s Change Our Toilets

ミッション:トイレに関するタブーを打ち壊し、安心安全なトイレをモンゴルへ。

プロフィール:旧ソ連の共産主義の影響を色濃く受けたモンゴルの小さな田舎町で育ったオユンゲル。モスクワの大学で計画経済を学ぶも、ソ連崩壊を受け、モンゴルで民主主義を拡げる活動家に。さらに2012年から16年まで国会議員を務め、文化庁・観光大臣を歴任した。

モンゴルの農村部ではトイレは全て簡易的な汲み取り式で、子どもが堀や川に落下する可能性のある危険で不衛生な場所となっている。2017年に行動変革のためのキャンペーン「Let’s Change Our Toilets (トイレを変えよう)」を開始。安心・安全なトイレを普及することをミッションに掲げ、トイレの普及と啓蒙活動に取り組む。

パシュタナ・ドラーニ

活動国 アフガニスタン
団体 LEARN

ミッション:女子教育が禁止される中、アフガニスタンのすべての女子が質の高い教育を受けられるようになること

プロフィール:内戦とタリバンから逃れるためにアフガニスタンを離れ難民となった両親の元、1997年にパキスタンで生まれ、2016年まで難民キャンプで育ったパシュタナ。難民キャンプでは教育機会が著しく制限されており、約12キロ離れた一番近い学校に行くための交通手段もなかった。元々部族のリーダーだった父親が、2001年に難民キャンプに女子校を開校。両親はこの学校の教師として女子教育の必要性を説き、教育機会の提供のために尽力。そのような両親の影響もあり、自身も女子教育の普及に取り組むことを決意。

2018年にLEARNを設立。ジェンダー平等に向けて、女子が質の高い教育へアクセスできるよう、タリバンの目に触れない「秘密の学校(Secret School)」を運営し、英語やSTEM教育などを含む幅広い内容のオンラインカリキュラムを、現地ファシリテーターと共に4校400人の女学生たちに届けている。

ヴィンゼハル・ネン

活動国 パプアニューギニア
団体 Sustainable Ocean Alliance パプアニューギニア支部

ミッション:気候変動の影響を大きく受けるパプアニューギニアで、西洋的な教育に馴染みのない原住民コミュニティの次世代へ、伝統的なアプローチで、環境教育を届ける

プロフィール:

9歳の時、海面上昇により沈んでいく自国の島と、移住を迫られたコミュニティについてのテレビ番組を見て、このような被害を受ける人々を救いたいという一心で、環境活動家になることを決意したヴィンジー。以来17年間、一人でも多くの若者に気候変動の問題を理解し行動してもらえるよう、啓発・教育活動を続けてきた。

Sustainable Ocean Allianceパプアニューギニア支部を立ち上げ、就学率や識字率が低いパプアニューギニアの若者に、アートやスポーツ、口頭伝承など伝統的な学習方法を通じて、気候変動、森林と生物多様性の保全、海の豊かさについて学ぶ機会を届けている。

ゼイノリン・アンカン

活動国 インド
団体 Hill Wild

ミッション:リジェネラティブ農業を通して、食の安全保障と農家の収入向上に貢献し、土着の種を守り、先住民コミュニティをエンパワメントする

プロフィール:第2次世界大戦以降、武力紛争が続くインド北東部の先住民族タングクル・ナガ族出身のゼイノリン。幼少期に飢えと貧困を経験し、教育と就業の機会を求めて故郷を離れたが、25歳の時再び故郷に戻り、土地の荒廃、貧困、気候変動の影響を受け苦しんでいる地元の農民たちを目の当たりにしたことをきっかけに、 Hill Wildを設立。

Hild Wildは、インドの少数部族・先住民のコミュニティが育てる作物を商品化し、販売している。元来地域の伝統農法は、作物が取れれば取れるほど土地が豊かになる「リジェネラティブ農業」であったが、時代と共に衰退。その伝統農法を取り戻し促進することで農民の貧困削減と生活向上を図り、地域の真の豊かな発展を目指す。