6月 25, 2020

【レポート】IMPACT HEROが毎回ゲストとして登場!SOIL FOR CHANGE MAKERS 「社会課題ケーススタディ編」

2020年5月4日(月)からスタートした、社会変革のスタートラインに立つプログラム「 SOIL FOR CHANGE MAKERS(以下SOIL)」。第1期は、募集から2週間で定員を上回り、34人の仲間たちが集まりました!

参加者の皆さんは回を重ねるごとに、社会課題への学び・向き合い方がどんどん深くなっていき、まさに、チェンジメーカーが育つ「土壌 = SOIL」となっています!

全プログラムの中で、何と言っても一番のハイライトとなるのが、壮大な社会課題に人生をかけて取り組むEarth Companyが支援するチェンジメーカー「IMPACT HERO」たちが語る、ケーススタディ編。

アジア太平洋地域で活躍する4名の「IMPACT HERO」たちをゲストに迎え、日夜社会課題解決のため奮闘する彼女たちへ、参加者から集めた質問をもとにインタビューしていくという形式で進められたセッションは、毎回驚きと発見と感動の連続でした。ここでは、ほんの少しその一部をご紹介したいと思います。

Case 1. IMPACT HERO 2017 キャシー・ジェトニル=キジナー(気候変動)

soil_kathy

近年の多発している自然災害によって、特に身近な社会課題になっている気候変動。

その影響による海面上昇で真っ先に沈む国の一つと言われるマーシャル諸島で、気候変動活動家として活躍するキャシーは、詩人・アーティストとして心に訴える発信するだけでなく、昨年開催されたCOP25に気候変動大使として参加するなど、世界をリードするチェンジメーカーの1人です。

参加者はそれらの活動内容の詳細を事前に教材でインプットして、そこで生まれた疑問をまとめ、Earth Company共同代表の濱川明日香・知宏がIMPACT HEROたちに投げかける形で行われます。

参加者からは、

「何が原動力となっていますか?モチベーションをどうやって保っているのでしょうか? 」
「詩の作品はどのように生み出していますか?」
「気候変動の要因である温室効果ガスを大量に排出している先進国に対して、マーシャルの人々は怒りを感じていますか?」

といった質問に加え、

COVID-19の影響でCO2排出量が減ったというニュースを見るけれども、それに対してどう思いますか?

という、タイムリーな内容のものもありました。それに対しキャシーは、

「今感染状況が悪化しているアメリカをはじめ、世界中の友人や多くの人々がリスクに晒されている中では喜ぶことはできません。なぜなら今まで『誰1人取り残さない』ということが、私たちがやってきた気候変動へのアクションだから。パンデミックも、気候変動も、どちらも誰かが取り残されることなく解決しなくてはいけないのです」

という思いを語りました。

たくさんの苦しみを味わい続けながらも声を上げ続け、「誰1人取り残さない」と言うキャシーの芯の強さに、全員が心を打たれていました。

Case 2. IMPACT HERO 2016 ロビン・リム(産科医療)

貧困が命を諦める理由になってはならない」と信じ、貧しい母親と赤ちゃんに無償医療を提供するロビンは、バリ島のブミセハット国際助産院を20年以上、世界中からの寄付だけで運営しています。

現在も新型コロナウイルスの感染リスクに細心の注意を払いながら、24時間週7日休みなく対応をしています。

さらにロビンは、難民キャンプや震災などの被災地では家の被災状況の調査まで行い、常に人々に寄り添い続けるその姿は、まさに「現代のマザーテレサ」。SOILの参加者にはロビンのファンの助産師の方もいらっしゃるほど、その惜しみない愛を注ぐ姿に誰もが虜になってしまいます。

この回でも「愛は水のように常に流れています」と、愛の循環について語ったロビン。

特に最近お子さんが生まれた男性参加者からの

「出産において男性の果たすべき役割は何ですか?」

という質問に対するロビンの答えが印象的でした。

「医療のシステムに男性を入れることが大事で、ブミセハット助産院でも、お腹に耳を当てて心音を聞かせたりするなど、男性のお産への関わりを大切にしています
例えば、お母さんが母乳をあげている時に、お水を持ってきたりアロマオイルを焚いたり…。お母さんがhappyになるよう男性がサポートすることで、幸せホルモンのオキシトシンが出て母乳が出やすくなるのです」

バリ島は男尊女卑の文化が根強くありますが、その土地でもロビンは、お産は男女協同のプロセスであることへの理解を深めていました。

お子さんがいらっしゃる参加者の画面に、子供たちが映ると、すぐに気が付いて笑顔で手を振るロビン

その尽きることのない愛は、画面越しにも溢れんばかりでした。

Case 3. IMPACT HERO 2015 ベラ・ガルヨス(環境教育)

人身売買、少女兵、亡命、難民生活を経て、環境教育を通して東ティモールを持続可能な未来に導くベラ。

東ティモールの未来を誰よりも考えているベラは、この国を変えるには国のシステムから変革を起こす必要があるとし、2023年の大統領選への立候補を決めています

さらにLGBTI当事者でもあるベラは、LGBTIの問題に苦しむ子供たちのためのシェルターの運営もしています。そんなベラに、参加者からは

保守的な東ティモールで、LGBTIに関してポジティブな変化が加速できますか?

という質問が。これに対し、ベラは

「東ティモールの法律ではLGBTIは犯罪者ではないけれども、実際には犯罪者のように扱われます。これは一番の大きな人権侵害です。
東ティモールでは、子供がLGBTIだった場合、子育てを放棄する親が多かったのですが、当事者であり、名前を知られている私からLGBTIについて話すことで、親たちの理解も深まり、少しずつ変化しています。18年間活動している中で、一番難しいのは周りの人たちの理解を得る、ということで、周囲の人たちへの教育を大切にしています。」

と東ティモールの現状と共に、活動への思いを語りました。

「大統領になれたとしたら、何を変えたいですか?」

という質問には、

「男尊女卑の強い東ティモールで、私が大統領になるのは決して容易なことではありません。でも、なれたとしたら、人々のニーズをとにかく聞きます
東ティモールの地方の人々は、大統領も、政治のことも知りません。だから、政府が地方に行かなくてはいけない。今までの大統領は中央の政権のためのもので、国民のための大統領ではなかったのです過去425年もの間、植民地支配を受けてきたため、人々には『自分たちの国』という意識がないのです。自然や土地はあるのに、輸入依存度が高く、新型コロナでも2ヶ月も輸入がストップしてしまいました。食料自給率上げるなど、もっと自分たちで行動しなくてはいけません」

と東ティモールの未来に向けた溢れる思いを語りました。コロナ禍で国のリーダーの在り方が問われる中で、「人々のため」に奔走するベラに称賛の言葉が止みませんでした

Case 4. IMPACT HERO 2019 ウェイウェイ・ヌー(平和構築)

社会的圧力により、18歳から7年間を刑務所で過ごしたロヒンギャ出身のウェイウェイは、「ミャンマーを変えたい」と社会起業家として、ミャンマーのヤンゴンとバングラデシュのコックスバザールの難民キャンプで教育事業を展開しています。

また、自身は米国オバマ・ファンデーションのプログラムのため、アメリカのワシントンでアドボカシー活動していることもあり、参加者からはアメリカでの事件を発端に世界中でデモが起きている人種差別について多く質問が寄せられました

「人種差別は、人々や社会のシステムに深く根付いている問題です。問題を解決するには、まず最初に、当事者の声を聞き、そして声を聞いたからには共感し認めることが大事です。

差別問題は、どの法律やどの政策、そしてそれらのどんな運用の仕方が問題を生み出しているかを整理する必要があります。解決のためには、ビジョンをもち、人々の声に耳を傾けられるリーダーのアクションが求められています。

『自分と似ている人が好きだし、共感する』ことは人間として自然なことですし、他人に偏見を持ってしまうこともあります。それを認め、自分との違いを否定せず、どう乗り越えるかが大切です。

『自由の国・アメリカ』では、ダイバーシティーを歓迎している人がたくさんいて、声を上げることができますが、私の国では違います。

話し合いたくても、言語の壁によって、そもそもコミュニケーションができない。別のコミュニティが一緒になる機会がない。解決には、弱い立場の人たちのテーブルをリフトアップしてあげないといけません

参加者の中には、無意識に「偏見を持ってしまう自分」に対して、モヤモヤしていたという方もいました。

ですが、ウェイウェイの答えに、「偏見を持ってしまう自分」をまず受け入れて、相手に共感し、認め合うことの大切さを学ぶことができました。

人種や民族、宗教、ジェンダーなど…それまでの講座でも多様な背景を持つ人々の社会課題について触れてきたケーススタディ編。その最後にふさわしい回となりました。

 

ケーススタディ編は、それぞれの回でIMPACT HEROたちの話に「何を感じたか」をグループで共有し、最後に全員で思いを分かち合う時間をもちました。回を追うごとに、社会課題だけでなく、参加者同士の理解も深くなっていく…そんな素晴らしい時間を創れたことに、Earth Companyとしても嬉しく思います。

 

そして、そんな体験をもっとたくさんの方にご提供したい!ということで、第2期の募集を開始しました。ぜひ一緒に、社会変革のスタートラインに立ってみませんか?