ミャンマーの少数民族は、教育的に厳しい状況にあるだけでなく、人身取引の犠牲者となることもあり、長い間迫害を受けてきました。なかでも現在、最も大きな問題となっているのが、ロヒンギャ難民です。ロヒンギャとは、主にミャンマー西部のラカイン州に暮らすイスラム系少数民族です。国民の90%が仏教徒であるミャンマーにおいて、政府はロヒンギャを自国民と認めていません。そのためロヒンギャには国籍がなく、長年激しい差別と迫害に苦しめられてきました。
そして2017年、ロヒンギャ系武装勢力の襲撃に対するミャンマー軍の報復を発端に迫害が激化。村が丸ごと焼かれる、略奪行為、レイプ、銃殺、撲殺など想像を絶するような生命の危機に、2017年8月以降、隣国バングラデシュのコックスバザールに70万人が逃れました。2018年1月、バングラデシュ軍が記録した難民の数は100万人を超えています。
一度難民となった人が避難生活を強いられる年数は、世界平均にして17年。世界最大級のロヒンギャ難民キャンプでは、UNHCRはじめ多くの団体が今も支援活動を行っていますが、物資は不足し、衛生環境は悪く、教育もままならない状況が続いています。